はじめての『カインド・オブ・ブルー』最初の1曲は何から聴けばいい?
『カインド・オブ・ブルー』最初の1曲
名盤、名盤と言われているんで、試しにマイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』というアルバムを買ってみた。
⇒どの曲から聴けばいい?
お時間の無い方は、動画をサクッとご覧ください。
↓
はい、動画のサムネールにも表示されているとおり、《ブルー・イン・グリーン》。
結論から言うと、最初に聴く曲は《ブルー・イン・グリーン》。
この曲をおすすめします。
ロリンズの『サキコロ』
ジャズ初心者に最初に薦めるジャズのアルバム、私は、ソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』を薦めることが多いですね。
《セント・トーマス》や《モリタート》など、親しみやすいテーマの曲が多く、旋律を追いかけやすい上に演奏全体にメリハリがあるからです。
非常に高度な演奏でありながらも、初心者が聴いても親しみやすさを感じる内容でもあるので、何度も繰り返し聴く可能性が高いですし、繰り返し聴いているうちに、今度は少しずつメロディとは違う「ジャズの旨み」に気が付く可能性だってあります。
たとえば、《ストロード・ロード》や《ブルー・セヴン》でのダグ・ワトキンスのベースとか、《ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ》のロリンズのモールス信号フレーズ、控えめながらも光る伴奏をつけるトミー・フラナガンのピアノなどなど、聴けば聴くほど楽しい「気付き」をもたらしてくれるアルバムなんですね。
しかし、最近はクラシックを聴いている人など、これまで慣れ親しんできた音楽によっては、『サキコロ』ではなく、マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』を薦めることが多くなってきました。
スタティックさが魅力のアルバム
『カインド・オブ・ブルー』に参加しているピアニストがクラシックを学んできたビル・エヴァンスだということが大きいですが、なによりクラシックの人がジャズを嫌がる理由の多くが、ドラムのドンチャカ・ドンチャカだったりするのですよ。
これこそがジャズの旨みであり、この躍動感こそが「ジャズ!」だと私は思うのですが、どうもクラシック畑の人は、そこが嫌なんだよねと顔をしかめることが多い。
であれば、それほどドラムが騒々しくなく、全体的にスタティックな雰囲気に包まれている『カインド・オブ・ブルー』を薦めると、まずは納得してくれることが多いのです。
もちろん、最終的にはジャズのエネルギッシュなパワーも好きになっていただきたいのは山々なんですが、入口の段階で拒絶反応を起こされてもね……。
ですので、ピアノが好き、クラシックが好き、オシャレなBGMが好き、癒し系音楽が好き……、そういう人には『カインド・オブ・ブルー』をお薦めしているんですね。
おしなべて《ブルー・イン・グリーン》
『カインド・オブ・ブルー』の収録曲、私は個人的には、《ソー・ホワット》や《フレディ・フリーローダー》が好きなんですが、このあたりもずいぶんと最初に聴いた人は受け止め方が違うようで。
《ブルー・イン・グリーン》が良かったっていうんですよ。
皆、一様に。おしなべて。
なるほど。
もちろん私もこのナンバーは好きですが、なるほど、たしかにミドルテンポで延々と各人のソロが繰り広げられる《ソー・ホワット》や《フレディ・フリーローダー》のような前半2曲に比べると、メリハリもあるし、メロディも追いかけやすいし、さらにピアノの響きが美しい。
改めて考えてみれば、いきなり32小節のモードナンバーや、ブルースの長尺演奏は厳しいのかもしれない。
だったら、やっぱり行きつくところは《ブルー・イン・グリーン》になるのかな?と。
『カインド・オブ・ブルー』に興味を持った方、もちろん最初から聴いて欲しいのは山々なんですが、どうもピンと来ないと感じたら、3曲目の《ブルー・イン・グリーン》を聴いてみよう!
記:2018/12/27