アイ・コンセントレイト・オン・ユー/リー・コニッツ&レッド・ミッチェル
2021/02/26
豪腕ミッチェルと、枯れたコニッツ
リー・コニッツ(as)と、レッド・ミッチェル(b)というベテラン2人のデュオによる、コール・ポーターの作品集、『アイ・コンセントレイト・オン・ユー』。
枯れたコニッツのアルトサックスのプレイも味わい深いが、太い音色で元気にうねるレッド・ミッチェルのベースも楽しめるアルバムでもある。
とにかく、アルバム冒頭から、ベースが唸る、唸る。
太い腕、太い指の大男が、弦をかきむしっている、そんなイメージが自然に湧いてくるサウンドと躍動感に心躍ることだろう。
レッド・ミッチェルのベースは、太く、強く、逞しい。
ノリも非常に安定しているし、音程も良い。演奏を大きく包む、太くて暖かいベースは彼の体躯そのままだ。
彼と共演するプレイヤーは、大船に乗った気分で、安心して自分のプレイに専念出来たに違いない。もちろん、このアルバムでの共演者のコニッツも。
白眉はなんといっても《ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングズ》だろう。
伴奏に回りながらも、アグレッシヴなべースを弾き、コニッツを煽るミッチェルのベースが素晴らしい。
多少突っ込み気味でスリリングなラインを奏でるレッド・ミッチェルのベースは、コニッツを良い意味で刺激、挑発し、彼から冴えわたったアドリヴを引き出すことに成功している。
またベースのみならず《ナイト・アンド・デイ》ではミッチェルはピアノを披露しているが、これがなかなか良いのだ。
ちょうどアルトサックスとベースという2種類の楽器の音色に飽きてきた頃に(演奏自体は素晴らしいのだが)、ミッチェルのピアノの和音が、コニッツのアルトに呼応するように鳴った瞬間、モノトーンだった景色が一転してカラフルな景色に変わるのだ。
ジャケット裏の二人仲良く並んでいるユーモラスな写真もまた良い味わい。
記:2010/12/13
album data
I CONCENTRATE ON YOU (Steeple Chase)
- Lee Konitz
1.Just One Of Those Things
2.Just One Of Those Things (take7)
3.Easy To Love
4.It's All Right With Me
5.Every Time We Say Goodbye (take 1)
6.Every Time We Say Goodbye
7.You'd Be So Nice To Come Home To
8.Love For Sale
9.In the Still Of The Night
10.Night And Day (take1)
11.Night And Day
12.I Love You
Lee Konitz (as)
Red Mitchel (b,p)
1974/07/30