ブルースフィーリングあふれる『ライヴ・イヴィル』に「ぉおぉぉ、いぇええぇ!」

      2019/09/05

ライヴ・イヴル
Live Evil

緩みの隙間にブルースフィーリング

ここのところマイルス・デイヴィスの『ライヴ・イヴィル』をヘヴィローテーションしています。

2枚組CDを3回も4回も立て続けにリピートしているのだから、かなりのおバカです(笑)。
でも、気持ちイイんですよね~。

同じ2枚組のライブといえば『フィルモア』や『アガルタ』のほうが音楽的な出来は上だと思います。
この鉄壁間、音に隙も緩みもない。
でも、『ライヴ・イヴィル』は緩みが多いんだよなぁ(笑)。

上記『フィルモア』『アガルタ』が都会の喧噪だとすれば、『ライヴ・イヴィル』は微妙に巣鴨や柴又(笑)。
なんというか、ほんわかと磯辺焼きの醤油と海苔の香りが漂ってきそうな感じ(笑)。

ま、それは大袈裟な表現だとしても、下町感覚な感じがたまらなく、そして多くの曲に漂う埃っぽさもたまらなくブルース!なのです。
そう、このアルバムは、マイルスの数多あるアルバムの中ではかなりブルース濃度の高いアルバムだと思います。

まるで体の内側からひっくりかえるようなこの感触は、マディ・ウォーターズを聴いて「おぉぉ~~ぃえぇ~」となる感じに近い(笑)。

マイルスがひねくり出すラッパの一音一音が、もうどうしようもなくド・ブルースなんですわ、『ライヴ・イヴィル』は。

『ゲット・アップ・ウィズ・イット』の《レッド・チャイナ・ブルース》のような露骨まくりなブルースも好きですが、もうアルバム全体がブルースフィーリングに満ち満ちている『ライヴ・イヴィル』のほうが私は好きかな。

ゲット・アップ・ウィズ・イット
Get Up With It

この感触、おそらくカチコチのジャズマニアにはわからないかもね。
むしろ、コテコテのブルースファンに聴かせたほうが、「ぉおおぉ、いぇぇえええ~分かるぜぇ~~」かもしれない(笑)。

マイルスを代表する5枚の中には間違っても入らないし、10枚にも15枚にも、ひょっとしたら20枚にも入らないかもしれない「傍流アルバム」なのかもしれませんが(笑)、個人的には大好き。

記:2008/12/06

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