ルッキン・アット・モンク/ジョニー・グリフィン&エディ・ロック・ジョウ・デイヴィス
2人のテナー吹きがモンクを料理
ジョニー・グリフィンとエディ・ロック・ジョウ・デイヴィス。
二人のタフなテナーマンによるモンク曲集だ。
グリフィンの場合は実際セロニアス・モンクのカルテットに在籍していたこともあるため(『ミステリオーソ』や『セロニアス・イン・アクション』で熱演を繰り広げている)、モンクの一風変わった曲の特徴、クセはよくつかんでいる。
しかし、その一方で、エディ・ロックジョウのモンク組み合わせは?というと、ちょっと異色というか、あまり接点がなさそう。
スタイル的にも、男剛球ストレートタイプなテナー吹きなので、複雑なハーモニーと蛇行を繰り返すモンクのナンバーと果たして相性が良いのだろうかと感じてしまうが、なかなかどうして、悪くない。
力技のロックジョウ
ロックジョウに関しては、モンク理解に秀でたグリフィンに比べると、ハンディがあることは否めない。
彼はその「差」を自己流のバイタリティで補うことによって、グリフィンに肉薄している。
グリフィンは文法に則ったバイタリティ溢れるプレイ。
ロックジョウは文法を無視したパワープレイ。
モンクに合わせるグリフィン。
モンクを塗り替えるロックジョウ。
こう書くと、グリフィンが「お利口」なテナー吹きで、ロックジョウがヤンチャで傍若無人なテナー吹きと思われるかもしれないが、グリフィンのヤンチャっぷりだってかなりのもの。
よって、ホットなテナーバトルに仕上がると同時に、単なるバトルものとは違う、きちんと両者の個性を際立たせる内容のモンク集に仕上がっている。
やはり下敷きとなる曲が、惰性で吹けてしまうブルースやスタンダードなどとは一風変わったモンクの曲ということが大きいのかもしれない。
リズムセクション
リズムセクションは、モンクとの共演歴のある、ラビー・ゲイルズ(b)とベン・ライリー(ds)。
そして、ピアノがジュニア・マンスという組み合わせが渋い。
躍動感とバネのあるドラムとベースに、じっくりとコクのある味付けをするピアノ。
安定感と躍動感が共存した優れた組み合わせだと思う。
聴きなれているはずのモンクのナンバーが、新鮮な形で甦って耳に迫ってくる面白いアルバムであることには間違いない。
記:2007/02/14
album data
LOOKIN' AT MONK (Jazz Land)
Johnny Griffin and Eddie "Lockjaw" Davis
1.In Walked Bud
2.Well, You Needn't
3.Ruby, My Dear
4.Rhythm-A-Ning
5.Epistrophy
6.'Round Midnight
7.Stickball (I Mean You)
Eddie "Lockjaw" Davis (ts)
Johnny Griffin (ts)
Junior Mance (p)
Larry Gales (b)
Ben Riley (ds)
1961/02/07