ラヴ・クライ/アルバート・アイラー

   

アイラーらしい1枚

この奔放さ、エネルギー、高揚感。
混沌としているようで、じつはかなり聴きやすい。

それはほとんどのアイラーの音楽に言えることかもしれないが、だとすると、このアルバムはもっともアイラーらしい1枚だといえる。

アニミズム的祝祭感

冒頭のタイトル曲に登場する「♪ハラヘロハ~」と、いっちゃってるヴォイスに気後れすることなかれ!
2曲目には名曲《ゴースト》が待ってるぞ。

ワンホーン編成の『マイ・ネーム・イズ・アルバート・アイラー』や『スピリチュアル・ユニティ』はちょっと趣きは異なるが、特に大人数編成でのアイラーのサウンドって、混沌という言葉よりも、「お祭り騒ぎ」という比喩がピッタリとくるように感じる。

それは、原初ジャズのニューオリンズ的でもあり、いや、それをさらに遡ったアニミズム的色彩を感じさせる、非常にプリミティブな人間の本能の正直な発露。

歓喜と熱狂の入り混じった音世界。

ゆえに、フリージャズ的な音の肌ざわりであるにもかかわらず、「うるさい」「難解だ」とあまり感じないのは、観念で作られた、フリージャズのためのフリージャズではないからなのだろう。

これぞまさしく自由ジャズ。
ま、要するに訳すとフリージャズなんで、同じことなんだけど(笑)。

記:2014/01/06

album data

LOVE CRY (Impulse)
- Albert Ayler

1.Love Cry
2.Ghosts
3.Omega
4.Dancing Flowers
5.Bells
6.Love Flower
7.Zion Hill
8.Universal Indians

Albert Ayler (ts,as)#1, 10 (vo)#1, 9, 11
Donald Ayler (tp)# 1-3,5,7,9,11
Alan Silva (b)
Milford Graves (ds)
Call Cobbs (Harpsichord) #3, 4, 6, 8, 10

1967/08/31
1968/02/13

 - ジャズ