激尾古高校・看護課No.2こびー(渡辺美優紀)の苦悩/マジすか4
2021/02/28
ソルト病院送り
『マジすか学園4』の第8話。
さくら(宮脇咲良)は、ラッパッパ四天王を倒し、いよいよソルト(島崎遥香)との頂上決戦かと思いきや、ソルトは大怪我。
救急車で病院行き。
さくらとの決戦当日、登校中のソルトの前に立ちはだかるこびー(渡辺美優紀)と激尾古高校が従える配下の高校の総長達。
彼女たちと近くの倉庫で闘うソルト。
圧倒的な強さを見せつけ、配下のヤンキー達を瞬殺しまくり、激尾古高校のナンバー2のこびーに対しても余裕の戦いっぷりのソルトでした。
「準備運動にもならない」と呟きつつ。
まさに、OPソング《マジすかFight》の歌詞、
♪一秒でフルボッコ
♪瞬殺でフルボッコ
♪1秒で片つくぜ
♪気づいたらアスファルト
♪青空を拝ませてやる
これを体現しているかのような闘いっぷりです。
しかし、こびーとの闘いで倉庫の棚の上にあった鉄パイプが落下。
その下に立っていたこびーのことをはね除け、自らが落下してきた資材の下敷きになってしまいます。
そして、救急車で病院送りに。
結局、さくらとの対戦は出来なくなってしまいます。
せっかく、ラッパッパのテッペンとしての自覚が芽生え、必ずさくらを倒すとやる気に火がついた矢先の出来事です。
アントニオの思惑
激尾古高校のテッペンのアントニオ(山本彩)は、さくらとソルトの決戦に白黒がついてから、一気にマジ女(馬路須加女学園)を襲撃しようと考えていました。
自分の部下たちの戦力温存をはかるために、マジ女が弱体化してから戦いを挑むつもりだったのです。
こびーの思惑
しかし、アントニオの部下のこびーは、そんなアントニオの方針に不満が常にあったようで、シロギクとクロバラを焚き付けてさくらと闘わせたり、今回もさくらvsソルトの頂上決戦の前にソルトのことを襲撃したりしています。
いわゆる急進派のフライングですね。
そして、シロギク&クロバラのときも、そして今回のソルト襲撃の際も、彼女の目論見は裏目に出てしまいます。
功を焦るとロクなことはない、だから実力はあるかもしれないけど、こびーは「ナンバー2」なんだよ、と視聴者は思うわけです。
テッペン目指すこびー
しかし、そんな彼女としては「常にアントニオの背中を見続けて」いることには不満があったようで、ナンバー2の地位に甘んじず、自分はテッペンになりたいという欲望はかなり強いようです。
だから、アントニオがソルトを仕留める前に、自分がソルトを倒してテッペンの名を轟かそうと企んだのでしょう。(しかし失敗)
ナンバー2はラクでいい♪
それにしても、なぜ、ナンバー2のこびーは、そんなにテッペンにこだわるのでしょう。
ナンバー2でもいいのに。
というか、ナンバー2のほうがラクなのに。
私自身、ずーっとナンバー2の人生を歩んできていますが、ナンバー2の座って悪くないですよ(笑)。
小学生から高校生の時までは、何度か学級員や班長みたいなことはやってきていますが、生徒会などでは常に副会長(笑)。
大学にはいっても、サークルやバイトなどでもナンバー2のことが多かったし、会社にはいっても、入社3年目からずーっと宣伝部のナンバー2、異動した雑誌編集部でも副編集長(笑)。
常に「副」がつく肩書きの人生でしたけど、何が良いかというと、背負うものの重さが、トップよりは軽いこと(笑)。
もちろん、トップと違って運動量(行動量)は多いですよ。
トップの責務は、いわば舵取りですから、右へ行くか左に行くかを決めることです。
常に対極を見据える必要があるんですね。
もし、自分が立てた方針でズッコけたらその責任は自分にのしかかってくる。
これは、かなりのプレッシャーだと思います。
いっぽう、ナンバー2というのは、「実務」面でのトップです。
親分が「右に行く」と決めたら、現場レベルで、もっとも効率の良い方法を考え、自らが動き、部下に見本を示すと同時に、一緒に汗をかいて動く。
やることが多く、フットワークが軽くなければ務まりませんし、身体を動かす量が多いという面においては「大変」なのかもしれませんが、それはあくまで肉体的な「大変」です。
精神的な「大変」ではありません。
親分が決めた方針のもとで動くので、仕事量の「大変」さはあっても、ゴールが明確なので、その行動の中には「迷い」がありません。
あくまで私に関してですが、肉体的に「大変」なのと、精神的に「大変」なのでは、どちらがイヤかといえば、精神的に「大変」なほうがイヤですね。
肉体的な大変さは、仕事終えた後の達成感もあるし、大変さが終了した後のビールが旨い(笑)。
それに反して、常に責任がつきまとい、大きな判断と舵取りをまかされたトップの精神的「大変さ」は、プロジェクトに一区切りがついたところで、ビールの旨さだけでまぎれるものではないでしょう。
それだけ、のしかかってくるものが違うのです。
トップとナンバー2の壁
トップとナンバー2の壁は厚く、段差も高いです。
ナンバー2になるまでは比較的容易です。
人より、ほんの少しだけ頑張ったり、差をつけてしまえば、気づけばなっている程度のものです。
しかし、ナンバー2からナンバー1になるのは、おそらくナンバー10ランクの人がナンバー2になるよりも難しいことでしょう。
ナンバー2までは、真面目さや熱心さ、ミスをしないことや、仕事量、それにテクニック的な要領や効率などといった、いわば「努力」のレベルでなれてしまうものです。
しかし、トップになるには、それ以外のサムシングが必要だと私は考えます。
つまりは、努力や要領といった表層的なものではなく、その人の器(うつわ)や、人間的な魅力、懐の広さ(深さ)などといった、数値では換算できない人間そのもののスケールの大きさで決まると思います。
激尾古のこびーは、人を動かす交渉力や対人調整力がある一方で、アントニオのように、機が熟すまで「デン!」と構えて待つだけの忍耐力のようなものは希薄なようです。
だから、ナンバー2というポジションが彼女にとって丁度良い場所なのかもしれません。
ナンバー1にこだわるこびーは「自分とアントニオとソルトの差は何なのか」と闘いの最中も葛藤していましたが、答えは簡単です。
たとえ敵であっても、倉庫の資材が落下してきたら、自らが犠牲になって下敷きになるだけの器を持つソルトのような人間がナンバー1の器です。
その一方で、テッペンとかナンバー2とか、常に自分のポジションのことばかりに拘泥しているこびーは、ナンバー1の器ではないのです。
ナンバー2・おたべ
マジ女においても、おたべ(横山由依)はナンバー2に相応しいポジションでしょうね。
たしかに、ラッパッパの部長だった時代もありましたが、それも前田敦子の後ろ盾があったからこその部長であって、周囲の認識も、おそらくは「前田の代理部長(つまりトップは前田でナンバー2がおたべ)」といったところだったのではないでしょうか。
おたべの場合は、よくソルトのことを立てていたし、また、ナンバー2としての責任とプライドも持ち合わせている。
おたべが部長時代の頃は、まだまだ京都のベリー・クレバーなモースト・フェイマス・ハイスクール(校長の表現を借りると)から転校してきただけあって、エリートなお嬢様な雰囲気が漂っていましたが、さすがに何年もバカ高校で留年をしていると、その空気に染まってしまったのか、なんだかヤンキー臭が強くなり、かつてのシャープな佇まいが無くなってきているのが残念ではありますが……。
記:2015/03/17