ビッグバンドアレンジのミンガス《ラヴ・チャント》。好き?嫌い?

      2021/09/12

『直立猿人』などに収録されている、ミンガス作曲の傑作の《ラヴ・チャント》。

個人的にはミンガスのナンバーの中では、《リンカーネーション・オブ・ラヴ・バード》とともに、ミンガス特有の「哀」がにじみ出た曲だと思っています。

>>ミンガスの『直立猿人』はB面が最高なのだ。

このナンバーが、なんと!
ビッグバンド用にアレンジされ、演奏されている動画をYouTubeで発見!

動画といっても演奏風景の動画ではなく、アレンジされた譜面に合わせて演奏が流れる動画ですが。

感想はというと?

うーむ、すっきり!
洗練されまくって現代風。

『直立猿人』バージョンのような「土埃くささ」がまったくない。

ミンガス特有の重さや、ぬぐいがたい人生の垢や乾いた刹那かつ切ないニュアンスが感じられないんだよね。

まあ、それは時代も違うし仕方がないことではあるのだけど。

めちゃくちゃ巧いんだけど、めちゃくちゃ構成も演奏もコントロールされまくっているんだけども、なんだか、ミンガスの本家本元の演奏に比べると、人間ではなく精巧につくられたアンドロイド集団が整然と演奏しているような感じ。

古い人間ゆえ、そう感じちゃうんだと思うんだけど、皆さんは、どうお感じですか?

せめて、テンポはもっとスローで、リズムのズッシリ感が出ていればなぁ。

やっぱり、昔のジャズ好きの戯言なのかもしれませんが(一概には言えないかもしれませんが、現代のジャズのスピード感はシャープで速いものが多いと感じます)。

ちなみに『直立猿人』収録のバージョンもいいけれど、ライヴ演奏の『ミンガス・クインテット・プラス・マックス・ローチ』のバージョンもいいよ!

エディ・バートのトロンボーンが大活躍!

ああ、やっぱりこのテンポが心地よい。
なんて気怠いんだ。

記:2018/08/17

 - ジャズ