モンク・スタディーズ/山中千尋

   

まずはアンサンブルに浸ってみる

とにかくリズムがカッコいい。

アコースティックピアノではなく、エレピやシンセ。
全編ベースはウッドベースではなく、エレクトリックベース。
そして、ベースソロは一切なし。
この割り切りが良い。
だからこその三位一体感。
研ぎ澄まされたシャープな感じ。

モンク云々といった予備知識から離れて、この三位一体なアンサンブルに身をゆだねるのが一番良いのではないか。

さらにはジャズ云々といった意識の縛りから離れて、カッチョ良いサウンドの中に浸り、泳いでやろうぐらいな気分で接するのがちょうど良いのではないだろうか。

このアンサンブルであれば、特にモンクが題材である必然性はそれほど感じないのだが、今年はモンク生誕100周年という制作側の都合優先の企画だからかもしれない。

しかし、モンクである必然性がないと書いたにもかかわらず、たしかに最初はそう感じるが、次第に聴き込むうちに、モンクの楽曲だからこそ実現が出来たアンサンブル、そして、このフォーマットでならではの必然性を感じてくる不思議さよ。

これは聴き手の「モンク情報」や「モンク経験値」にもかなり左右されることなので、無理してモンクと山中サウンドを意識の中で紐付ける必要はないんじゃないかと思う。

むしろ、知識の垢で重たくなった頭を持たない「非ジャズマニア」のほうが、気軽にこの音世界に没入できるのではないかとすら思ってしまう。

でも、モンクが大好きで、モンクに関する知識の垢が脳内にヘバりついている私から最後に一言言わせて。
ラストを《アバイド・ウィズ・ミー》で締めくくるところがニクいっす!
これは、モンクス・ミュージックの冒頭を飾る曲だよよよ~ん!(ちなみに、モンクの曲ではありません)。

記:2017/09/06

album data

MONK STUDIES (Universal Music)
- 山中千尋

1.Heartbreak Hill
2.Pannonica
3.Nobody Knows - Misterioso
4.In Walked Bud
5.New Days, New Ways
6.Ruby, My Dear
7.Rhythm-a-ning
8.Criss Cross
9.Hackensack
10.Abide With Me

Chiriho Yamanaka (p,syn,org)
Mark Kelley (el-b)
Deantoni Parks (ds)

March and April 2017.
Boomtown Studio Brooklyn

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