ムーヴ・ユア・ハンド/ロニー・スミス
暑い日にこそ暑いジャケ写の熱い演奏!
これを書いているのは、令和元年の8月の真っ只中なんですが、とにかく暑い。
クーラーつけていても暑い。
だからといって外に出るともっと暑い。
なんとかならんもんか?
そんな時はバドワイザーのような薄いビールを昼間から飲み、ロニー・スミスの『ムーヴ・ユア・ハンド』を聴けば、少なくとも音源の時間ぶんは多少なりとも暑さを忘れることが出来る。
ジャズだ、ブルーノートだ、といったそんなことは気にすることなく、これはもう、まごうことなき楽しいソウルジャズでございます。
それもご機嫌なソウル。
オルガン奏者のロニー・スミス、歌っているし。
そして、その歌声がまた、なんともまたソウルでありR&Bであり、ファンクなリズムにもきっと似合うであろう濃い黒人音楽の最大公約数的なヴォイスなんですね。
歌っているのは、タイトルナンバーの《ムーヴ・ユア・ハンド》。
《ムーヴ・ユア・ハンド》といえば、知る人ぞ知る、スコットランド出身のシンガー、ドノヴァンのヒット曲です。
ロニーのヴォーカルが入っているのは、この1曲だけだけど、これを聴くだけでも価値のあるアルバムなんじゃないかな。
これは、ニュージャージー州、アトランティックシティにある「クラブ・ハーレム」で行われたライヴ音源なんだけど、お客さん少なかったのかな? 聞こえてくる拍手は少々淋しい。
実際の客の入りはどうだったのか分からないけれども、仮に客席がガラガラだったとしても、いったんノリ出したら、客の入りなど関係ないとばかりに手のつけようがなくなるのがミュージシャンの性(さが)なのでありましょう。
バリトンサックスのロニー・キューバーはブリブリ吹きまくるは、負けじとテナーのルディ・ジェームスもハッスル、ハッスルだわ、ラリー・マギーのギターが刻む「地味ジャズファンク」が、なんともイナタイ味わいを演奏に加味するわと、言うことなしの楽しい演奏が続く。
シルベスター・ゴスヒの雑なようでいてポケットの広いドラミングも安定したグルーヴ感をバンドにもたらしている。
ジャケットのロニー・スミスの出で立ちは、カッコいいんだか悪いんだかよく分からないんだけど(似たようなジャケットのアルバムが他にも出ていたので、当時はこういうのがヒップだったのかも?)、とにかく猛暑日にこのジャケ写を見ると、やめてくれ、もっと暑くなる!と引いてしまうかもしれない。
しかし、この精神的暑さを吹き飛ばしてしまうほどの熱い演奏で、暑さを忘れさせてくれる効果があることも確か。
気軽な気分で聴いてみよう。
記:2019/08/11
album data
MOVE YOUR HAND (Blue Note)
- Lonnie Smith
1.Charlie Brown" (Jerry Leiber, Mike Stoller) - 8:26
2.Layin' in the Cut" - 10:11
3.Move Your Hand" - 9:01
4.Sunshine Superman" (Donovan Leitch) - 10:16
5.Dancin' in an Easy Groove" - 11:56
Lonnie Smith (organ, vocals)
Rudy Jones (tenor saxophone)
Ronnie Cuber (baritone saxophone)
Larry McGee (guitar)
Sylvester Goshay (drums)
1969/08/09
Recorded at Club Harlem in Atlantic City
YouTube
動画でも紹介しています。