浮気なぼくら/YMO
2017/08/07
久々に聴いてみたら、色褪せているようで、じつは、それほど色褪せていなかった。
色褪せていたのは、《君に胸キュン》が流れていた当時の私の記憶と、そのときの時代の空気。
しかし、音楽そのものは、まったくもって、しっかりと力強く色褪せていなかったのには驚き。
というのも、やはり、メンバー3人の並外れたセンスと確かな音楽的力量が、時間の堆積とはまったく無関係な骨格を作り上げちゃったからなのでしょうね。
爽やかで、軽やかで、キャッチーな音色と曲調のものが多いので、『BGM』や『テクノデリック』を熱烈に崇拝していた(いる)私にとっては、軽視しがちなアルバムだったのですが、《胸キュン》が流行していた当時の時代の空気と切り離して、いまとなって、ようやく客観的に聴けるような気がします。
とはいえ、私は《胸キュン》はそれほど好きではなく(ビデオクリップは好きだけど・笑)、むしろ、うーむと唸ってしまうのは、細野さんの《フォーカス》や《ロータス・ラヴ》なのであります。
この2曲は名曲ですよ、ほんと。
このアルバムの主役ではないけれども、味と個性にあふれる名脇役とでも言うべきか。
もちろん教授の《音楽》の豊かなハーモニーも発売された当時から好きでしたけれども。そう、メディア・バーン・ライブの《音楽》よりは、こちらのほうがずっと良いです。
そうそう、そういえば、このCDは、『浮気なぼくら(インストゥルメンタル)』もカップリングされたお得版です。
『インストゥルメンタル』は、ヴォーカルがシンセのメロディーに弾きに置き換えたバージョンのアルバムで、ちょっとチープかもしれないけれども、底抜けに爽やかだったので、発売当時の夏は、よく、これを聴きながら勉強をしていたものです。
しょせん流行モノ、といった先入観は捨てて、今こそ、じっくり聴いてみましょう。
ポップな中に潜む、YMOの驚くべき音楽性の高さにビックラこくことでしょう。
記:2009/10/26