チャーリー・パーシップ・アンド・ザ・ジャズ・ステイツメン/チャーリー・パーシップ

   

ぱしんシップ!

ぱしん!ぱしん!

いやぁ、うるさい、うるさい、スネアの音!

いや、失礼しました。

おそるべき手数とテクニックであります。

チャーリー・パーシップのドラミングは。

1曲目の《セヴンス》から、もうスネアの連打。いや、猛打。
ぱしん、ぱしん。

チャーリー・パーシップではなく、チャーリー・ぱしんシップと呼んだほうが良いほどの、スネアの連打だ。

もう、これくらやられてしまうと、逆に気持ちよくなるから不思議だ。

それはおそらく、叩いている本人もめちゃくちゃ気持ちいいからなのだろう。

おかげで、フレディ・ハバードなど、そうそうたる面子が参加しているにもかかわらず、彼らの渾身のアドリブがあまり耳にはいって来ず、ひたすらチャーリー・パーシップのドラミングばかりが耳の中に響く。

もちろん、こういうアルバムがあっても良いと思う。

ドラマーがリーダーのアルバムなんだし、なにしろ、チャーリー・パーシップの初リーダー作なのだから、おそらく気合いも十分、あらん限りのテクニックを駆使してやろうと考えていたのだろう。

ビッグバンド出身

ドラマー、チャーリー・パーシップは、1953年から58年までの5年間、ディジー・ガレスピー(tp)のビッグバンドに所属していた。

だから、なのかもしれない。

チャーリー・パーシップの盛り上げドラムは、まさにビッグバンドにはうってつけのドラミングだといえよう。

しかも、リーダーが「お祭り男」とも言われていた、派手好きで陽気なガレスピーだ。

彼のエキサイティングにバンドメンを鼓舞するドラムは多いに気に入られていたことだろう。

ちなみに、ガレスピー楽団でのパーシップのドラミングは、名盤『ディジー・ガレスピー・アット・ニューポート』で楽しむことが出来る。


ディジー・ガレスピー・アット・ニューポート+3

参考:アット・ニューポート/ディジー・ガレスピー

だからこそ、逆にこのアルバムのような少人数編成となると、どうしてもフロントの管楽器よりも、パーシップのドラムのほうが目立ってしまう。

むしろ、管楽器奏者を含め、パーシップ以外のメンバーは全員ドラムの伴奏係で、彼らの演奏を下敷きに、パーシップは思う存分ドラムを楽しんでいるようにすら感じる。

それはそれで、たまにはこういうアルバムを聴いて、彼のスネアにシンバルの連打を浴びるように楽しむのもまた一興なのではないかと思う。

1年に何度も聴きたくはならないけれどね(苦笑)。

記:2019/04/05

album data

CHARLES PERSHIP AND THE JAZZ STATEMEN (Bethlehem)

1.Sevens
2.Right Down Front
3.The Song Is You
4.Soul March
5.The Champ

Charlie Persip (ds)
Freddie Hubbard (tp)
Marcus Belgrave (tp)
Roland Alexander (ts)
Ronnie Mathews (p)
Ron Carter(b)

1960/04/02

YouTube

このアルバムの紹介は動画でもしています。
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