マンション格差~あなたのマンションは「勝ち組」「負け組」?/榊淳司
不動産情報はシャットアウトしていた
30歳で父親になる!
そんな人生計画を大学生の頃から漠然と立てていた私は、「子育てするには新しく広めの環境で」と考えていたので、20代の後半で新築の分譲マンションを購入しました(で、ジャスト30歳で父ちゃんになりました)。
ですので、せっかく大枚はたいて頭金を払って、ローンを組んだ買い物ですから、その行為を否定するような情報には接したくなかったんですね。
そんなことから、マンション情報に関しては、「しまった、もっとイイところがあったんだ!」と後悔するのがイヤなので、できるだけ不動産関係の本や、家やマンション選びの情報に関してはシャットアウトしていました。
しかし、早いもので、現在住んでいるマンションも数年前に築15年を超え、それに伴った修繕積立金での大改修があったり、近所の不動産屋さんに試しに今自分が住んでいる部屋を人に貸したら月いくら取れるのかをシミュレーションをしてもらったら、17万円が相場ということで、資産価値としては、それほど悪くないといんだということも分かり、ここのところ、他の地区のマンションの情況や相場なんかも、ものすごく積極的というわけでもないのですが、目にした情報に関しては、以前ほど頑なにシャットアウトをせずに目を通すようにしています。
そんな折に読んだのが、この本。
『あなたのマンションは「勝ち組」「負け組」?』です。
東海道沿線が狙い目?!
この本を手に取ったのは、新しいマンションに引っ越したりとか、リフォームしたりとかと、そういったことではなく、単純な好奇心ですね。
タワーマンションには増税がかけられるというこのご時世、うちの息子は、「将来はタワマンに住みたい」なんてことを言っていたことも記憶の底にあったから、この本を手に取ったのかもしれません。
本の内容は、というと、なかなか面白いです。
興味深いです。
いや、人によっては恐ろしいと感じるかもしれません。
言ってはいけない(?)不動産業界の真実が満載です。
マンションのブランドはどこまで信用できるのか?
あなたのマンションは大丈夫?
こんな煽りがあると、マンションに住んでいる人、特に購入してしまった人にとっては気になりますよね。
ま、個人的には、煽りほどショッキングな内容は見当たらなかったのですが、興味深い話のタネが出来ました、って感じですね。
話のタネとして興味深かった内容の1つは、「これからマンションの資産価値が最も落ちにくい沿線は、JR東海道線」。
なるほど、そうなんですか。
でも、以前、何度か横浜で朝まで遊び、朝帰りした際は、朝の東海道線(横須賀線)はイヤだ~!と思ったものです。
あの殺人的ラッシュは、ほんと、カンベンして欲しいものです。
殺人的ラッシュがイヤだから、次に横浜で朝まで遊んだ時は、始発から2本目から3本目の東海道線に乗って東京に向かったのですが、既に満席。
座れないでやんの……。
もうこの一件だけで、私は東京にも秋葉原にも上野にも、そして場合によっては新宿までもチャリ(自転車)で行ける距離の下町住まいでいいや~と思ったものです。
私鉄沿線の価値は?
話が脱線しましたが、これから私鉄沿線でのマンション購入を検討している人がぜひ読んでほしい箇所は、「小田急vs.京王線、京急vs.京成、どっちが有望なのか」でしょうね。
詳細は本書に譲るとして、小田急線のラッシュも、それはそれはスンごいものですとしか私には言いようがありません。
また、マンション投資を考えている人にとっては、「ヴィンテージマンション」についてのところを読むとよいでしょう。
「広尾ガーデンヒルズに学ぶ、新築よりも中古の方が高いワケ」。
これ、自分には縁がない話とは思いつつも、なかなか目から鱗です。
狭い日本そんなに急いで……、ではありませんが、土地の限られた狭いニッポンだからこそ、不動産業の奥深さや、業界にいないとなかなか分からない「痒い」雰囲気を垣間見れた思いの本でした。
記:2016年10月