アット・ザ・ゴールデン・サークル vol.1/バド・パウエル
原稿執筆はジャズ喫茶で
私の場合、仕事やメルマガの原稿は、ジャズ喫茶で書くことが多い。
「はかどる」というのが最大の理由だが、ほかにも、
・会社だとタイピングにグルーヴが生まれてきた矢先に、電話などで中断されるのがイヤ
・ジャズ喫茶は空いている(笑)
・レコードが大音量で流れているので、近くのテーブルの余計な会話で気が散らない
・うるさいオバちゃんがいない
・うるさいOLがいない
・落ち着く
・コーヒー1杯でちょうど、キリの良い分量を書ける
・しかも、好きなジャズを聴ける
などなどの、メリットがあり、根をつめてひと仕事をするには最適な空間だといえる。
生き生きとしたピアノ
先日も、四谷の「いーぐる」で、うんうん唸りながら、えんえんと原稿を書いていた。
だんだん、ノってきた。
このノリをキープしたまま、一気に書き上げたい、と思った矢先、バド・パウエルの『アット・ザ・ゴールデン・サークルvol.1』が流れた。
いいねぇ、『ゴールデン・サークル』は、どれも好きなんですよ。
個人的には『vol.3』が一番好きなんだけど、『vol.1』の演奏も中々だ。
特に凝った仕掛けのない演奏で、延々とベースとドラムがリズムを刻み、パウエルが長時間、延々とアドリブを繰り広げるというパターンが多い。
あくまで、主役はパウエル。
ベースとドラムは、どこまでもパウエルに従う影のサポート役的存在なのだが、パウエルの繰り出すフレーズが生き生きとしていて、まるで飽きることのない演奏なのだ。
この一直線な疾走感が心地よい。
「ゴールデンサークル」にハズレなし!
いわゆる「後期パウエル」の演奏なので、世間的には、絶頂期を過ぎた下り坂の時期の演奏とされているのだが、なかなかどうして、アドリブの切れ味は今一つかもしれないが、 めくるめくスピード感は、彼にしか出せない独特のもの。
アメリカを離れ、ヨーロッパの地で現地のリズムセクションとの共演なので、ベースとドラムは本場のリズムに比べると、たしかに力量は劣るかもしれないが、ピッタリとパウエルのピアノに吸い付き、遅れまじと食い下がる姿がいじらしい。
それに、むしろ、これぐらいリズムに「遊び」をいれずに、淡々と疾走してくれたほうが、ノリノリな気分を維持したまま、パソコンのキーを打つことが出来るのだ。
私はバド・パウエルは大好きで、絶頂期と呼ばれる彼のキャリアの初期から、指のもつれの目立つが人間くさいピアノを弾く後期の演奏まで好きなアルバムは多いのだけれども、 特にスティープル・チェイスの『ゴールデン・サークル』シリーズはどれもがお気に入りだ。
普段着のパウエルの演奏を聴いているようで、日常的に気軽に楽しめる演奏ばかり。
なにかをしながら(私のように原稿を書きながら)聴けば、作業がはかどるし、もちろん何もせずに音に浸る鑑賞をしても、耳を満足させてくれる内容なのだ。
淡々と演奏を続きながらも、それでも不思議な存在感を放ち続けるパウエルのピアノ。
後期パウエル入門にも最適なうえ、ハズレの無い演奏を楽しめるのが『ゴールデン・サークル』なのだ。
記:2005/04/14
album data
AT THE GOLDEN CIRCLE vol.1 (Steeple Chase)
- Bud Powell
1.Move
2.Just A Gigolo
3.Relaxin' at Camarillo
4.I Remember Clifford
5.Reets and I
6.Hackensack
Bud Powell (p)
Torbjorn Hultcrntz (b)
Sune Spangberg (ds)
1962/04/19,Stockholm
関連記事
>>アット・ザ・ゴールデン・サークル vol.2/バド・パウエル
>>アット・ザ・ゴールデン・サークル vol.3/バド・パウエル
>>アット・ザ・ゴールデン・サークル vol.4/バド・パウエル
>>アット・ザ・ゴールデン・サークル vol.5/バド・パウエル