ザ・コンプリート・RCA・トリオ・セッションズ/バド・パウエル

中期のバド・パウエル。

こと、RCAに吹き込まれたバド・パウエルの演奏が私は大好きで、昔は『タイム・ワズ』というCDを何度も繰り返し聴いていたものです。

今では『タイム・ワズ』は廃盤になってしまっているので、これからRCAのパウエルを聴きたい人は、コンプリートを是非おすすめしたいと思います。

中期のバド・パウエルの良さ。

これは色々あるのですが、タッチの重さとダークさが大きな特徴だと思います。

絶頂期の時のようなスピード感を失ったぶん、ピアノの音のヨジれた感じ、特に和音の音色が独特で、

♪ポロン

ではなくて、

♪ボロン

なのです。

この重たくのしかかるような重厚なニュアンスをたたえた和音、このような音色、ニュアンスで音を放射するピアニストは、バド・パウエル以外いません。

この「♪ボロン」と奏でる和音が似合う曲は、やはりミドル・テンポのブルースだと思います。

《ブルース・フォー・ベイシー》のようなテンポ設定のブルースが、とても、この時期のバド・パウエルらしさを感じます。

そして、個人的にも大好きな名曲《オブリビアン》。

このナンバーは『ジニアス・オブ・バド・パウエル』に収録されている印象的な名曲なのですが、『ジニアス~』に吹き込まれたバージョンはピアノソロなんですよね。

ピアノトリオで《オブリビアン》を聴きたい人には、うってつけの演奏もRCA盤には収録されているのが嬉しいですね。

とにかく、パウエルの評価といえば、絶頂期か晩年のどちらかに偏りがちな傾向がありますが、中期の「重たく曇った」パウエルのピアノもなかなかです。

ピアノの音の存在感は、他のジャズピアニストにはない独特のたたずまいがあり、もしかしたら神経などが疲れていたり病んでいたりする人が聞くと、「あちらの世界」に引きずりこまれてしまう懸念もありますが、天才の芸術表現というものは、往々にして、そのような人の生活や人生を動かしてしまうものです。

パウエル好きで、彼のピアノにドップリと耽溺したい人には欠かせない音源なのではないでしょうか。

▼収録曲
1. There’ll Never Be Another You
2. Coscrane
3. Over The Rainbow
4. Blues For Bessie
5. Time Was
6. Topsy Turvy
7. Lush Life
8. Elegy
9. They Didn’t Believe Me
10. I Cover The Waterfront
11. Jump City
12. Another Dozen
13. Like Someone In Love
14. Salt Peanuts
15. She
16. Swedish Pastry
17. Shaw Nuff
18. Oblivion
19. In The Blue Of The Evening
20. Get It
21. Birdland Blues
22. Midway

記:2015/03/07

ジャズ

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