サヒブズ・ジャズ・パーティ/サヒブ・シハブ

   

肉汁したたるサヒブサウンド

充実のアンサンブルから発せられる陽の熱気。

フルートなのに、肉汁したたるほどの濃さを放つサヒブ・シハブのフルート。

ギザギザとエッジの立ちまくったサヒブ・シハブのバリトンサックス。

いやぁ、まいります。
最高ですね。

アンサンブルも極上

管楽器の旨みを「これでもか!」とばかりに引き出しまくったこのアンサンブルの妙。

しかも、熱狂に近い熱気をはらみながらも、憎たらしいぐらいに統制のとれた管楽器の音色のブレンド配合の妙、そして、ズレをも計算にいれたタイミング配分。

演奏の骨格を強力に形作るアレックス・リールのドラミングも、シンバルレガートの適度なルーズさと、ケニー・クラークとマーク・ボランのアンサンブルを思い起こさせるほどに構築的に要所要所を締めている。

当時若干17歳だったベーシスト、ニールス・ぺデルセンのバッキング、ソロも秀逸で、この統制がとれた熱狂のアンサンブルを鼓舞しまくっている。

とにかく、出てくる音のいちいちがエキサイティングで楽しいのだ。

全体から放射される強烈な音のパワーに酔いしれているうちに、気がつけば、いつのまにか時間の経過が早くなっていることに気づく。

興奮!充実サウンド

四谷のジャズ喫茶「いーぐる」でもよくかかるアルバムだが、ちょっくら休憩でもしようと店に入ったときにこれが流れ、サウンドの波に身を任せていると、「あれ?いつのまにか、こんな時間?」ということが何度かあった。

赤い内装の店は時間の経過を早く感じ、白い内装の店は時間の経過を遅く感じるという。

これは、人間の体温や心拍数と関係あるようだが、この『サヒブ・シハブ・レディオ・ジャズ・グループ』は、明らかに後者のほう。

気づかぬうちに体温が上がり、微興奮状態に陥っているのだろう。

しかしそれは、充実した時間を過ごした証でもあり、充実した音楽だという証でもある。

そういえば、先日、渋谷のタワーレコードをのぞいたら、レジ斜め前の平台には、このCD、あと3枚しかなかった。

一時期は、ウン万円の高値がつけられたというこのレア音源、欲しい人は今のうちだ、渋谷に走れ!

あ、アマゾンでも買えるか。
しかも、安いなぁ、私が購入したときの値段のほぼ、半額じゃん……。

記:2008/08/30

album data

SAHIB SHIHAB AND THE DANISH RADIO JAZZ GROUP (澤野工房)
- Sahib Shihab

1. Di-Da
2. Dance of the Fakowees
3. Not Yet
4. Tenth Lament
5. Mai Ding
6. Harvey's Tune
7. No Time For Cries
8. The Crosseyed Cat
9. Little French Girl

Sahib Shihab (bs,fl,cowbell)
Palle Bolvig (tp,flh)
Palle Mikkelborg (tp,flh)
Allan Botschinsky (tp,flh)
Poul Kjaeldgard (tuba,tb,bastb)
Poul Hindberg (as,cl)
Bent Jaedig (ts,fl)
Niels Husum (ts,ss,bcl)
Ib Renard (bs)
Fritz Von Bulow (g)
Louis Hjulmand (vib)
Bent Axen (p)
Niels Henning Orsted Pedersen (b)
Alex Riel (ds)
Torolf Molgard (tb,eufonuium)
Svend Age Nielsen (tr,btb)
Bent Nielsen (bs,fl,cl)

1965年

 - ジャズ