マクリーン、《センチメンタル・ジャーニー》の魅力
2019/07/17
マクリーンの『4,5&6』
プレスティッジから出ている、ジャッキー・マクリーンの『4,5&6』は、《センチメンタル・ジャーニー》が看板のアルバムだが、《センチメンタル・ジャーニー》以外の曲を中心に愛聴しつづけてきた。
たとえば、2曲目の《ホワイ・ワズ・アイ・ボーン?》とか、ラストの《アブストラクション》とか。
この2曲は、ほんと、イイ演奏だと思う。
マクリーンの『4,5&6』で《センチメンタル・ジャーニー》ばかり聴いている人は、ぜひ、この2曲も真剣にチェックしてみましょう。
……と言いたいところなんだけど、
だがしかし、ようやく最近、この《センチメンタル・ジャーニー》の「なんでもない魅力」に開眼した。
特別な意味なんてないのよ。
特別な仕掛けとか、演奏のすばらしさとかじゃないのね。
ふつうにふわっと吹いて、気合いの入る箇所には、きちんと熱が加わって、だけども、場合によっては、その熱量が上滑りしてしまうところもあったりで。
このマクリーンの演奏行為の過程そのものが愛おしく感じられるようになってきたのだ。
特別に深い意味はない。
深い意味がないところに、この演奏の魅力がある。
なにかの記念日に呑む特別な酒は、特別な旨さを感じるかもしれないが、そうそう人生に特別な日があるってわけでもない。
むしろ、平日になんの気なしに呑むビールの旨さってのもあるじゃない?
マクリーンの《センチメンタル~》まさに、そんな感じ。
平日に呑む旨いビールに意味なんか求めちゃいけない。
それと一緒で、
普通の日に、普通の気分で、普通に聴く、普通にいいジャズ。
特別気合を入れるわけでもなく、だからといって、まったく手を抜いているというわけでもない。
マクリーンの技量をもってすれば、平、平、凡、凡な中庸な出来の演奏かもしれないが、その演奏の中に、
「うーん、今日のビールもなんだか旨いねぇ」
と感じられることになった私は、また、少し年をとったわけである(笑)。
マル・ウォルドロンのピアノが奏でるなにげないイントロも、気だるく、い~感じ。案外、この演奏のムード設定の要なのかもしれない。
記:2009/04/14
関連動画
YouTube
《センチメンタル・ジャーニー》が収録されているアルバム『4,5 &6』について語った動画もあります。