スタンダードナンバー 朝日のようにさわやかに
2017/05/21
朝日のようにさわやかに。
ソフトリー・アズ・イン・ア・モーニング・サンライズ。
この曲は、ジャムセッションなどでもよくやる曲で、ジャズをたしなんでいる楽器奏者ならば、弾けない人はいないと言ってもよいほど、基本中の基本とでもいうべきスタンダードナンバーだ。
邦題では「爽やか」とあるが、実際のタイトルのニュアンスは、「柔らかな(朝日)」のような感じで、ニュアンスにはずいぶんと差があるが、
実際、マイナー調のクサいメロディは、どう考えても爽やかな感じはしない。
もっとも、ベンチャーズの「ベタ」&「クサ」な旋律が好きな日本人があいかわらず多いことからもわかるように、ある種演歌チックなベッタリさも兼ね備えた曲調は、まさに日本人好みの旋律なんではないだろうか。
「日本人はマイナー好みだ」と一口で断言するだけの勇気は私にはないが、「日本人はアブストラクトなメロディは苦手」とは言えるかもしれない。
たとえば、リー・コニッツの《サブコンシャス・リー》のテーマやアドリブにグッとくる日本人ってどれぐらいいるんだろう?
《朝日のようにさわやかに》は、アブストラクトさはもっとも遠い地点に立つメロディだ。
だからこそ長い間親しまれているんだろう。
この曲のコード進行は非常に簡単。
さらに、曲調もあいまってソロを演奏するときも、「らしく」演奏することも容易で、だからこそジャムセッションなどでもよく取り上げられる曲なんだろうけれども、私としては、ソロが難しい。
つまり、クサく弾こうと思えばいくらでも弾けるのだが、そのクサさっていうのは、なんとなくペンタトニックやマイナースケールを覚えたてなギタリストのような感じで、出てくる旋律がクサければクサいほど、自分の素人臭さを嘆きながらのソロ演奏となってしまっているのだ。
だから、というわけでもないが、曲のニュアンスにそぐわないタイトル、つまり「さわやかに」弾くことが、もっぱらの課題だったりする。
もちろんアウトをせずに、この曲が要求する音使いでね。
たとえば、有名な演奏をもって例を挙げるとすると、ウイントン・ケリーの演奏なんか、私にとってはクサ過ぎる。
人によってはブルージーってことになるんだろうけれども、ちょっと「ニンニクな要素」を曲に振り掛けすぎ。
こういう旋律を奏でるのは、簡単なんだけれども、こういうふうになり過ぎないのが目標なのだ。
ちなみに、私が好きなのは、ソニー・ロリンズのバージョン。
クサさよりも、もわぁ~としたニュアンスがうまく前面に出ていてグッド。
ブルーノートの『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』に収録されている演奏だ。
A Night At The Village Vanguard
演奏に臨む際、ベースラインに関しては、Aメロは、同一パターンの繰り返しなので、なるたけ単調にならないように工夫していマス。
弾いていて楽しいというか、ついついベースを弾きながら、フロントの管楽器奏者の演奏に聴き入ってしまうので、AABA形式の流れの中、ついウッカリしてAの数を余分に弾きすぎないように注意しています。
記:2005/08/15(from ベース馬鹿見参!)