ザ・ソウルフル・ピアノ・オブ・ジュニア・マンス/ジュニア・マンス
ベテラン
ジュニア・マンスって、ベテランではあるんですが、ベテラン過ぎて、その裏返しというわけでもないんですが、どうしても華があまり無いんですよね。
役者で言えば、脇をしっかりと固めるタイプ。
だから、彼の魅力っていうのは中々気付きにくいんだよ。
この「必要以上に派手じゃない」というところは、彼一流の美学ゆえだと思う。
表現は大袈裟じゃないし、紳士然とした控えめな表現が多い。
じっくりと耳を傾けて、ようやくじわじわ染みてくるといった寸法。
だから、一目惚れするタイプのピアニストにはなりにくいんだよね。
あ、一目惚れじゃなくて、一聴き惚れか。
冷酒や親父の小言の如し
フレージングは非常に丁寧。
一音一音に含蓄がある。
しかし、フレーズの旨みに気付くには少し時間がかかるかもしれない。
親父と冷酒じゃないけれども、後になって効いてくるタイプのピアノなんだよね。
「そうそう、そうなんだよなぁ。まったくもってその通り!この曲のピアノは、こうでなくちゃダメなんだ!」
こう相槌を打ちながら名手ジュニア・マンスのピアノと付き合えるようになるには、多少の時間が必要かもしれない。
しかし、だからいいのだ。
最初から全部分かっちゃう、最初から全部気が付いちゃう音楽ばかりだと、面白くないもんね。
酒とのつきあい方、気に入った店との付き合い方、いい女との付き合い方と一緒でさ、少しずつ相手を理解してゆく、少しずつ相手の世界に溶け込んでゆく、少しずつ仲良くなってゆく、こういったプロセスもまた楽しいもの。
じっくりと時間をかけてマンスのピアノと仲良くなってください。
良さが分かれば、きっと一生の友となることでしょう。
まさに、ジャケットの雰囲気通りの演奏とフレバー。
こいつは渋い!
渋すぎる!
ベン・タッカーのベースが渋みとコクを増長しており、こいつは効きます!
記:2009/07/24
album data
THE SOULFUL PIANO OF JUNIOR MANCE (Jazzland)
- Junior Mance
1.The Uptown
2.Ralph's New Blues
3.Main Stem
4.Darling, Je Vous Aime Beaucoup
5.Playhouse
6.Sweet and Lovely
7.Oo-Bla-Dee
8.I Don't Care
9.Swingmatism
Junior Mance(p)
Ben Tucker(b)
Bobby Thomas(ds)
1960/10/25