シュトゥットガルト・アリア/ジャコ・パストリアス&ビレリ・ラグレーン

   

ジャコがマイブーム

ここのところ、なんだかジャコがマイブームみたい。
ジャコで目覚め、ジャコで眠る毎日。
ジャコがないと落ち着かないんです。

こんなこと学生以来だな。

だから、ジャコを聴きながらジャコのことをつらつらと考えているわけです。

で、なんかポッと出てきた言葉が、「ジャコ、ギタリスト説」。

ジャコ・ギタリスト説

もちろん、これは仮説なんだけれども、ウェザーリポートも、ジャコ・パストリアス・ビッグバンドもギターがいなかったでしょ?

だから細かく刻むリズムギターがいないことに対しての穴埋めとして、ジャコの細かなベースは、リズムギターの役割をも兼任、ということで、あのような粒立ちの細かいフレーズに磨きがかかっていったんじゃないかと思っている。

あるいは、ジャコのベースラインが本質的にリズム・ギターライクだからこそ、最初からギターがいらなかったのかもしれないが。

ジャコに似合うギタリスト

とはいえ、ジャコと共演しているギタリストはいないわけではなく、以下の3人がぱっと浮かぶ。

パット・メセニー
ハイラム・ブロック
ビレリ・ラグレーン

だ。

メセニーはデビュー作の『ブライト・サイズ・オブ・ライフ』やジョニ・ミッチェルでの共演で素晴らしい成果をあげているし、ハイラムは、ニューヨークのライブシリーズには欠かせないパンチのあるワイルドなギタリスト(ボロボロなギターがかっこいい)。

そして、ジプシー・ギターが本筋のビレリは、『シュトゥットガルト・アリア』というアルバムで共演したギタリスト。

私はこのアルバムのジャケットが大好きだ。

私の知るかぎりでは2種類のジャケットがあるが、どちらもジャコとビレリがステージ上(?)で演奏している同じ写真が用いられている。

ジャコのムダな力の抜けたベースの構え方、ほんと、見れば見るほどデカい手と指。
付け替えたのだろうか、なぜか白いピックアップ。

ベースをやっているからということもあるが、一時期はこのジャケ写のジャコの佇まいや、ベースの本体に見惚れたものだ。

ちなみに、この2人は、ラリー・コリエルの紹介で知り合ったらしい。

ジャコのベースの存在感

話をもとに戻すと、ギターが必要なさそうなジャコの細やかなタイム感を持ったベースも、このアルバムでは、テクニシャンのビレリがエモーショナルにギターを鳴らしまくっていることもあってか(ほんとカッコいいです)、いつもよりはゆったりと大股歩きのビートを打ち出しているように感じる。

シンプルなベースラインも多く、中には《ドナ・リー》のように、もう一台のベース(シンセベース)にのってソロを取っている曲もあるが、大筋は、リラックスした「せわしなくない」ジャコのベースプレイが楽しめる。

それでもやっぱり、派手なことやトリッキーなことをせずとも、ジャコのベースの存在感は圧倒的。

とはいえ、全盛期を過ぎた時期のジャコなので、鋭利は刃物のように尖ったベースのプレイではない。むしろ穏やか。

しかし、その穏やかさがとても魅力なのだ。

フェンダー62年ジャズベースならではの暖かく突き抜ける素晴らしいサウンドキャラクターは健在。
それに加えて、ジャコの並々ならぬタイム感覚が、少ない音数のベースラインでも、ベースの低音の圧倒的な存在感を際立たせる重要な要因だと感じている。

だから、比較的穏やかながらも、じわりと熱く迫ってくるこのアルバム、私は大好きなのだ。

記:2007/07/04

album data

STUTTGART ARIA (Le Chant du Monde)
- Jaco Pastorius & Biréli Lagrène

1.American Boy
2.Donna Lee
3.Stuttgart Aria
4.Jaco Regae
5.The Chicken
6.Teresa
7.Stuttgart Aria
8.Days Of Wine & Roses

Jaco Pastorius (el-b,p,vo)
Bireli Lagrene (g)
Viadislay Sendeckl (key)
Synth.B.Jan Jankele (syn)
Peter Luboke (syn)
Serge Pringoff (per)

1986年

追記

さきほど、パッと3人のギタリストが思い浮かんだって書いたけど、書き終わってからジョン・マクラフリンを思い出した(苦笑)。

彼は、トニー・ウィリアムスとジャコのトリオで凄まじいインプロビゼーションを繰り広げています。『トリオ・ザ・ドゥーム』というアルバムです。

記:2007/07/05

 - ジャズ