サンタン(イン・トリオ)/ミシェル・カミロ
カミロもスゴイがリズムも凄い
攻守のバランスに富み、安定感とスリリング感が奇跡的に共存したピアノトリオだ。
抜群なテクニックを誇るカミロのピアノを的確にサポートするだけではなく、「どんどん行け!」とばかりに積極的に盛り上げようと奮迅するリズムセクションの働きは、常に驚きと興奮の連続だ。
鳥肌モノのアンソニー・ジャクソン
特に、ベースのアンソニー・ジャクソンの貢献度が高い。
音価に気をつかい、機械ように正確なアンソニーのベースの粒立ち。
しかし、機械のように正確とはいえ、バツグンの大きなウネりをも供給するスケールの大きさ。
どっしりと安定した低音の支えがあるからこそ、カミロはここまで奔放なピアノを弾きまくれたに違いない。
もちろん、安定感のあるバッキングだけではない。
出るところは出る。
ハイポジションでのメロディのユニゾンやハモりもお手のもの。
《ウイ・スリー》にろ、《(ユースド・トゥ・ビー・ア)チャ・チャ》にしろ、重低音でカミロの影になっていたかと思うと、ある瞬間には急速にハイ・ポジションにまで指が駆け上がり、積極的にカミロのピアノに絡む様は鳥肌ものだ。
この『イン・トリオ』(輸入盤では『SUNTAN』と表記されている)は、もちろんカミロのピアノを楽しめる名アルバムには違いないが、それと同等、いや、以上にアンソニー・ジャクソンのベースをも楽しめる、アンソニーを代表する1枚といっても良いだろう。
個人的には、ドナルド・フェイゲンの『ナイト・フライ』とともに、アンソニーのベースが聴きたくなったときに引っ張り出すアルバムとなっている。
記:2008/05/29
album data
IN TRIO(SUNTAN) (Electric Bird)
- Michel Camilo Trio
1.We Three
2.Tombo in 7/4
3.Olas
4.(Used to Be) Cha-Cha
5.Suntan
Michel Camilo (p)
Anthony Jackson (el-b)
Joel Rosenblaff (ds) #1,3
Dave Weckl (ds) #2,4,5
1986/06/29&30