テ・ヴ/ロイ・ヘインズ
2021/02/05
若い!
古くはレスター・ヤング、さらにチャーリー・パーカーとも共演したことのあるベテランドラマー、ロイ・ヘインズが、パット・メセニー、ドナルド・ハリソンら新進気鋭と共演した最近のアルバム。
元気です、おじいちゃんになっても。
まだまだ若者にゃー負けんの気迫充分。
もとより、俊敏なロイ・ヘインズのタイム感。
年をとっても衰えることなく、すばやいレスポンスと的確な状況判断で若手のソロをサポートしつつも、うまく煽っている。
とくに、皮をパンパンに張り詰め、トレブリーでアタックのあるスネアの素早さが彼の特徴で、これは、コルトレーンが1963年の七夕の日にニューポートで演奏した《マイ・フェイヴァリット・シングズ》での煽りに煽りまくるスネアの打・打・打!を聴けば、おわかりのとおり。
もちろん、『テ・ヴ』でのドラミングは、それほど激しくはない。
しかし、よく聴くと、じつに細かくオカズを入れまくっている。
リズムキープを超えて、積極的に音楽の骨格形成に乗り出している感じ。
しかし、カチャカチャと耳障りにならないのは、それはおそらく、メセニーやハリソンのマイルドな音とのバランスが良いからだろう。
ある意味、若手の演奏のほうがおとなしく安定しており、バックのおじいちゃんのプレイがハッスルハッスル、元気モリモリって気がしないでもない。
だからといって、若いもんが年寄りに負けてどーする、っていうことでは全然無くて、それぞれの演奏者のテンションの差のバランスが、アンサンブルをよりよいバランスに収めているということ。
だから、とっても聴きやすい。
メセニーやハリソンのオリジナル以外にもチック・コリアの曲、チャーリー・ヘイデンの曲、オーネット・コールマンの曲など、ジャズマン作曲ナンバーのオンパレード。
しかし、個人的には、やっぱりモンク作曲の《トリンクル・トウィンクル》がいいな。
このトリッキーな曲を細かく複雑にここまで煽れるのは、共演歴のある彼をおいてほかにはいないだろう。
記:2009/03/13
album data
TE VOU! (Dreyfus)
- Roy Haynes
1. Like This
2. John Mc Kee
3. James
4. If I Could
5. Blues M45
6. Trinkle Tinkle
7. Triognometry
8. Good For The Soul
Roy Haynes (ds)
Donald Harrison (as)
Pat Metheny (g)
David Kikoski (p)
Christian Mcbride (b)