ティアーズ・フォー・ドルフィー/テッド・カーソン
鑑賞のポイントメモ
詳細はYouTube動画で。
死後約1ヵ月後の録音
テッド・カーソンのリーダー作『ティアーズ・フォー・ドルフィー(ドルフィーに捧げる涙)』は、そのタイトルからもお察しのとおり、ベルリンで客死を遂げたマルチリード奏者、エリック・ドルフィーに捧げられたアルバムだ。
ドルフィーが亡くなったのは、1964年6月29日。
カーソンがこの作品を吹き込んだのが、同年の8月1日。
ドルフィーの死後、比較的すぐにレコーディングに臨んだ作品だ。
カシム
1曲目のカーソン作曲の《カシム》は、まるでホレス・シルヴァーが作りそうなテーマの旋律だ。
ホレスが作り出す、オリエンタルな「あのムード」が好きな人にはたまらない演奏かもしれない。
イースト・シックスス・ストリート
2曲目の《イースト・シックスス・ストリート》は、オーソドックスな4ビートゆえ、肩の力を抜いて普通に楽しめる内容だ。
変拍子ナンバー
《7/4 ファニー・タイム》は、ややつんのめった感じのリズムが面白い。ベースが4ビートっぽいランニングを刻んでいるので、4ビートに一瞬聴こえてしまう瞬間もある。ただし、でも拍の頭には必ずディック・バークが律儀にシャーンとシンバルを鳴らしているので、ちょっとしつこく感じるかもしれないけれども、
タイトルナンバー
タイトル曲の《ティアーズ・フォー・ドルフィー》は、ミンガス的な哀愁が漂う。ただし、アンサンブル自体は、ミンガス特有の濃厚さやアクを掬い取ったかのような、比較的あっさりテイスト。
しかし、あっさり&淡々と演奏が進むにつれ、かえってしみじみとした情感が増してくる。
とはいえ、テーマの後半に出てくる、オクターブが数回繰り返されるメロディが、少し間の抜けた感じに聞こえなくもない。
クイックサンド
カーソンのトランペットの特徴がよく出ている、これもカーソンのオリジナルナンバーだ。
彼のトランペットの特徴を一言で形容することはなかなか難しい。
抽象的な言い方になってしまうが、近くて遠い音。そう、遠近感を見失ってしまう感覚がつきまとう不思議なトランペットだ。
それが、この曲にはよくあらわれている。
アーブ・ブッシュラーのベース
決して派手なプレイをしているわけでも、演奏の前面に踊り出ているわけでもないにもかかわらず、なにげにセンスの良いサポートをしているアーブ・ブッシュラーのベースワークが良い。
別ジャケ
ちなみに、こういうジャケットのバージョンもある。
フォンタナから出ているレコードバージョンのジャケットね。
個人的にはCDのジャケットよりも、レコードバージョンのほうが好きかな。
記:2019/08/05
album data
TEARS FOR DOLPHY (Black Lion)
- Ted Carson
1.Kassim
2.East 6th Street
3.7/4 Funny Time
4.Tears for Dolphy
5.Quicksand
6.Reava's Waltz
Ted Curson (trumpet, pocket trumpet)
Bill Barron (tenor saxophone, clarinet)
Herb Bushler (bass)
Dick Berk (drums)
Unidentified (percussion)
1964/08/01