ジス・イズ・ホンダ/本田竹曠
2021/02/07
ピアノ生命力
ジス・イズ・ホンダ!
これが本田だ!
はい、わかりました。m(__)m
なんて分かりやすいタイトルなんでしょう。
そういえば、『マイ・ネーム・イズ・アルバート・アイラー』というアルバムもありましたね。
ロックだと、サロン・ミュージックの『ジス・イズ・サロン・ミュージック』。
いずれにせよ、分かりやすさとともに、強い自信を表明するかのようなタイトルでもある。
そして、このアルバム、「これが本田だ!」の自信に溢れたタイトルに恥じない、本当に素晴らしいピアノトリオなのだ。
ジャケットいっぱいに映るアフロ頭の白黒写真が怖いので、一瞬引いてしまうが(裏ジャケットも怖い・ちなみに)実際の内容は、美しく、力強いピアノだ。
一曲目の《ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ》から、もう、のっけからノックダウンさせられてしまう。
高音部のきらめくような、まばゆいばかりの美しさといったら!
真っ裸のストレートで、ダイナミックなんだけど、脆い一面も垣間見せるピアノといったら!
誰もいない狭い飲み屋の薄暗いカウンターで聴いていたら、絶対に泣いちゃいそうだ。
《バイ・バイ・ブラックバード》、《ラウンド・ミッドナイト》、《朝日のように爽やかに》……。
聴きなれているはずのスタンダードが、こんなに新鮮に聞こえるのはなぜなのだろう。
まったく奇をてらった演奏はしていない。
むしろ、ストレートに真っ正直な演奏だ。
それなのに、本田奏でるピアノは、なぜにこれほどまでに眩い光彩を放つのだろうか。
曲の素の部分に、本当に核となる部分に、ストレートに生命を吹き込んでいるかのようなのだ。
じっくり聴いていると、本当にあっという間に時間が過ぎ去ってしまう。
コテコテ過ぎず、かといって、あっさりもしすぎない。
本当、毎日聞いても飽きない、素晴らしいピアノトリオだと思う。
記:2004/03/01
album data
THIS IS HONDA (Art-Union)
- 本田竹曠
1.You Don't Know What Love Is
2.Bye Bye Blackbird
3.Round About Midnight
4.Softly As In A Morning Sunrise
5.When Sunny Gets Blue
6.Secret Love
本田竹曠 (p)
鈴木良雄 (b)
渡辺文雄 (ds)
1972/03/24