トレヴァー・ホーンの「ぶるるん」16ベース

      2021/02/04

トレヴァー・ホーンという人

トレヴァー・ホーンといえば、おなじみバグルスの《ラジオスターの悲劇》の人。

といっても、もう今の若い人には、「ん?バグルス?なんじゃそりゃ?」かもしれませんね(イエスのヴォーカルだった人といっても、もっと分かんないかもしれない)。

しかし、これ耳にすれば、「ああ、聞いたことがある!」となるのではないかな?

映像で見ると、ちょっと変人チックなヴォーカルという出で立ちと立ち居振る舞いではありますが、変人というよりも鬼才という形容のほうが相応しい人でしょう。

あ、ちなみに、バグルスの『エイジ・オブ・プラスティック』は、時代を超えてとても素晴らしいアルバムなので、興味のある方はぜひ聞いてみてください。

バグルスの後にZTTレーベルを立ち上げ、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドをプロデュース。後にアート・オブ・ノイズをプロデュースし、あの滅茶苦茶パンチのある《ビート・ボックス》で、一躍脚光を浴びます。

その後もドイツのプロパガンダをプロデュースしたことからも、トレヴァー・ホーンというと、プロデューサーのイメージが強い人かもしれませんが、なかなかどうして、彼のベースも素晴らしいのです。

ベースがとっても素晴らしい

《ラジオスターの悲劇》を映像で観ると、どうしても時代を感じてしまうキッチュな映像に関心が向かってしまうかもしれませんが、CDなどで音だけを聴くと、なかなか彼のベース、カッコいいですよ。

「ぶるん」としている。

この「ぶるん」の「る」のところの16分音符の粒立ちの明確さと、そこから生み出される「むるるるん」としたノリは独特。

ためしに、2004年のステージをご覧になっていただきましょう。

曲はアート・オブ・ノイズの《クロース》。

先述の《ビート・ボックス》の派生曲のようなナンバーですが、一発で曲のキャラクターがわかるあのベースラインは、なんとまあ軽々と「人力」で弾いております。

レコーディングされたベースラインは打ち込みなのですが、これと変わらぬラインをニコやかに軽々とベースで弾いているという素晴らしさ。

やはりこの曲のベースラインの16分音符の「ブルン」のところの粒立ちが非常に独特です。

しかも、フレットレスだし。
しかも指弾きではなくピック弾きだし。

また、左手も、いわゆるコントラバス奏者がエレクトリックベースを持ち替えたときのような「ジャズ持ち」に近い感じ。

なかなか基礎の部分もしっかりと消化しているのだということが分かります。

音程もほぼパーフェクト。
素晴らしい。

それにしても、年をとっても、この粒立ちと独特のうねり、そしてベースの存在感といったら。

プロデューサーとしてだけではなく、いちベーシストとしての評価ももっと受けてしかるべき人だと思っています。

記:2018/11/02

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