ワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》
トリスタンとイゾルデ
クラシックにはそれほど明るくないのだけれども、幼い頃からチャイコフスキーとワーグナーには慣れ親しんでいました。
曲名など分からないままに。
特にワーグナーは、幼心にも染みてきた、というか自発的に「また聴きたい」と思わせる要素がありましたね。
ベタではありますが、《ニュールンベルグのマイスタージンガー》などが子ども心に好きでした。
今になって、ようやくその理由がかってきたのですが、私とクラシックをつなぐラインって、きっと特撮番組の『ウルトラセブン』だったような気がします。
観ていたのは再放送でしたが、『ウルトラセブン』は至るところにBGMとしてクラシックを使っているんですよね。
そして、勇壮なイメージの強いワーグナーのナンバーが、おそらく無意識に特撮の映像とリンクしていたのだと思います。
特に《トリスタンとイゾルデ序曲》が昔から大好きで、「無限音階」なる知識を知ったのは大人になってからのことなんですが、子供心にはすごく美しく刺激的なサウンドでしたね。
今でも家でもっともよく聴くワーグナーのCDがフルトヴェングラー(ヴィルヘルム)指揮、フィルハーモニア管弦楽団のバージョンです。
オペラのDVDは、正直、全部見通すには、相当の覚悟と体力がいるんだけど、CDだったら軽い気持ちで読書のBGMとして気軽に聴けるのが嬉しいです。
そして、どうせ持っているなら、大好きな『トリスタンとイゾルデ』の全曲を持っておきたい。
だからこそ、価格もお手頃なわりに収録時間 257分という大ボリュームの「全曲集」が書斎の傍らに鎮座しているのです。
カラヤン
ワーグナーといえば、最近は晩年のカラヤン指揮のアルバムの愛聴しています。
もちろんノーマンの絶唱も凄いのですが、なにより80歳(それ以上だったっけ?)のカラヤンが描き出す≪タンホイザー序曲≫が素敵。
若い頃の彼にはなかった穏やかさと丸みが感じられる一方で、描き出される音楽風景に広がりを感じるんですね。
まさに広大というか雄大。スケールが大きい。
これもまた、なかなかです。
Wagner: Tannhäuser / Siegfried-Idyll / Tristan und Isolde
ワーグナーという存在
個人的にはジャズ中心の音楽生活なので、頻繁にクラシックを聴いているというわけではありません。
しかし、シンバルとベースが刻む4ビート中心のジャズのノリの心地よさとは、まったく別の心地よさ、大げさに言うと「悠久」を感じさせる心地よさというのかな?
スケール大きく、心の中の視界が大きく広がっていくような感覚、これは、やはりクラシックを聴いているときのほうが多いですね。
とくに、やっぱり、ワーグナー。
スケールの大きさと、サウンドの響きの複雑さと、それを太くエモーショナルな旋律で紡がれた楽曲は、聴くたびに心が洗われるのです。
記:2012/07/22