ライヴ・アット・カフェ・ボヘミア/ジョージ・ウォーリントン
スリリングなハードバップ
いやはや、弾く弾く、いやはや、燃える、燃える。
なんの予備知識なしで聴けば、まさか、このピアノが白人ピアニストによるものだとは夢にも思うまい。
バド・パウエルの再来かと思わせるほど、音に気迫がこもったバップ・ピアニストは、イタリアはシシリー島生まれのジョージ・ウォーリントン。
この突撃調、ハード・ドライビングなピアノは、いつ聴いても新鮮だ。
もちろん、このライブの聴きどころは、ウォーリントンはもとより、若き日の熱いマクリーンや、ドナルド・バードの奮迅プレイも見逃せない。
また、こんなに燃えるような叩き方もするんだぁな、アート・テイラーのエキサイティングっぷりも見逃せない。
ちなみに、彼らは今でこそハードバップの代表的ジャズマンだが、当時はまだ無名の新人だった。そんな時代の彼らの力量を見抜き、自らのバンドに加えたウォーリントンの人選の才能も大したものだ。
『ライブ・アット・カフェ・ボヘミア』は、ほとばしるライブの熱気を浴びたい御仁には、躊躇なくおススメできる逸品。とにもかくにもドライブしまくるスリリングなハードバップを心行くまで味わえることだろう。
なお、このアルバムには2種類のジャケットがあり、下掲のオリジナルジャケットのものと(左側)、ピアノを弾くウォーリントンを斜め前から押さえたショットのもの(右側)があるが、個人的には断然、ムードに勝るオリジナルのジャケットのほうに愛着を感じる。
2種類のジャケットがあることに気付かず、その昔、ろくすっぽ曲名やパーソネルも見ずに、同じ『アット・ザ・カフェ・ボヘミア/1951』を2枚同時に衝動買いしてしまったマヌケな私。
同一内容だと気付いたのは、帰宅して再生してからしばらくのことだった……。
記:2010/07/11
album data
LIVE AT CAFE BOHEMIA/1955 (Prestige)
- George Wallington
1.Johnny One Note
2.Sweet Blanche
3.Minor March
4.Snakes
5.Jay Mac's Crib
6.Bohemia After Dark
George Wallington (p)
Donald Byrd (tp)
Jackie McLean (as)
Paul Chambers (b)
Art Taylor (ds)
1955/09/09