ウォーター・ベイビーズ/マイルス・デイヴィス
黒く幽玄な世界
極上のまどろみミュージックだ。
とくに、1曲目の《ウォーター・ベイビーズ》。
これかけながら、寝ると、よく眠れるんだよね~。
というより、寝よう!と思ったときの「まどろみ剤」として聴き始めるとよい。
ショーターのとろけるようなテナーと、楽想。
うーん、ネフェルティティにつながる世界。
黒く幽玄な世界であります。
1967~68年の間に録音された未発表音源をまとめたのが、この『ウォーター・ベイビーズ』だが、未発表音源だからといって、レベルの低い演奏の集積だろうと侮るなかれ。
なかなかの秀作、名演揃い。
とくに、やっぱり私は、タイトルナンバーの《ウォーター・ベイビーズ》がとても好き。
他の曲は? というと、じつは、《ウォーター・ベイビーズ》聴いているうちに眠っちゃってることが多いので、あんまり、覚えてないの(涙)。
今度は2曲目、あるいは3曲目から聴いてみよっと。
ショーター的でもありマイルス的でもある
というのは半分冗談で、2曲目の《カプリコーン》の不安定かつ浮遊感も素晴らしい。
このニュアンス、この宙吊りされている感じの不思議な心地よさは、ショーター、ハンコック、ロン、トニーというおの時期のマイルス・クインテットのメンバーでしか出せなかったテイスト。
このナンバーも含め、全体的にはショーター色の強いメロディが多くを占めるが(ショーター作曲のナンバーが多いから当然のことではあるが)、ショーターがリーダー作で表現するテイストよりも、マイルス親分の配下のもとでの演奏のほうが、良い意味で「ボンヤリ」した曖昧でミステリアスな感じが増強されており、個人的にはマイルス・マジックが効いたショーター曲のほうが好きだ。
そういった意味でも、ショーターの代表作の1枚に挙げたい気持ち半分、ショーターの曲でありながらも、マイルス的芳香がまぶされている以上、もはや「ショーター離れ」をしてしまっていることからも、ショーターの代表作に挙げるのはちょっと違うのかな?という気分も半分。
いずれにしても、マイルスとショーターが良い化学変化を遂げて独自のテイストを生み出しているということを未発表演奏からも濃厚に感じ取ることが出来る、貴重かつ気持ちの良い一枚なのだ。
記:2000/02/23
album data
WATER BABIES (Columbia)
- Miles Davis
1.Water Babies
2.Capricorn
3.Sweet Pea
4.Two Faced
5.Dual Mr. Anthony Tillmon Williams Process
6.Splash
Miles Davis (tp)
Wayne Shorter (ts)#1-3
Herbie Hancock (p)#1-3 (el-p)#4-6
Chick Corea (el-p)#4-6
Ron Carter (b)#1-3
Dave Holland (b)#4-6
Tony Williams (ds)
1967/06/7, 13, 23
1968/11/11,12