ウィスパー・ノット/ウイントン・ケリー

   

フィリー・ジョーの「遅刻効果」

《ウィスパー・ノット》といえば、このアルバムのジャケットを思い出す人も多いのではないでしょうか?

ウイントン・ケリーの代表作の一枚、『ウィスパー・ノット』。

リーダーのケリーのピアノに、ケニー・バレルのギター、そしてベースはチェンバース。

この3人によるドラムが抜けたトリオでの演奏がなかなか良いのです。

遅刻してきたフィリー・ジョー・ジョーンズ様々なのかもしれません。

もちろん、遅刻後のドラム入りの演奏も収録されていますが、ドラムが抜けている演奏のほうが、ケリーのリズミックなピアノの良さと、艶やかでブルージーなケニー・バレルのギターの味わいが、より前面に出ているので、聴いていて楽しいですね。

もちろん、ドラム入りの《ダーク・アイズ》の哀愁も素晴らしいのですが……。

ウイントン・ケリーのセンスの良さは、もちろん軽快なタッチのピアノのフレーズやノリの良さにあるのですが、それだけではなく、共演者の音や持ち味を考え、さり気なく、演奏の中における自らの立ち位置を微妙に調整しているところにもあると思います。

このアルバムでは、ケニー・バレルの持ち味を引き立てる側にさり気なく回っている配慮が感じられ、そこに気がつけば、より一層ケリーのことが好きになることでしょう。

記:2015/07/09

album data

WHISPER NOT (Riverside)
- Wynton Kelly

1.Whisper Not
2.Action
3.Dark Eyes
4.Strong Man
5.Ill Wind
6.Don't Explain
7.You Can't Get Away
8.Dark Eyes

Wynton Kelly (p)
Kenny Burrell (g)
Paul Chambers (b)
Philly Joe Jones (ds) #1,2,3,8

1958/01/31

 - ジャズ