ウィズアウト・ア・ソング/ソニー・ロリンズ

   

9・11テロ直後のライヴ

ロリンズ健在!
モリモリ演奏!

この『ウィズアウト・ア・ソング』は、2001年9月11日にニューヨークでおきたテロ(9・11米同時多発テロ)の4日後、ボストンで行われたライブの模様を収録したものだ。

ロリンズは、じつは世界貿易センター近くのアパートに住んでいて、しかも、ビルの崩壊も目のあたりにしているという。

貿易センターが崩れ落ちてゆく様を見ながら避難したロリンズ。

当然、テロの直後は飛行機が飛ばなかったので、コンサート会場のボストンまでは車で移動をしたのだそうだ。

サイドマンは、相変わらずのボブ・クラショウ(b)に、クリフトン・アンダーソン(tb)というおなじみの顔ぶれが散見され、クオリティは、正直、可もなく不可もなくの演奏だが、それでもロリンズはやっぱり凄い。

技術がどうとか、閃きがどうとか、そういう問題じゃなくて、とにかく音に対する気迫、一音一音に精魂を込めてブリブリと吹く様は、感動的だ。

年齢を感じさせない……、という言い方はやめておこう。

ロリンズは時代とともに微妙にスタイルが変わってはいるけれども、根っこの部分はまったく変わらない、強く逞しい、私にとっては最後のジャズヒーローなのだ。

ヒーロー健在!
このことが音で確認できただけでも、嬉しいではないか。

そして、11月に、日本では「最後」のライブ公演を控えている。
もちろん、私はヒーロー健在をこの目で確認しに行きますですよ。

ヒーローの雄姿を見るのも、これが最後かと思うと、楽しみでもあり、悲しくもある。

記:2005/09/10

album data

WITHOUT A SONG (Milestone)

1.Without A Song
2.Global Warming
3.Introductions
4.A Nightingale Sang In Berkeley Square
5.Why Was I Born?
6.Where Or When

Sonny Rollins (ts)
Clifton Anderson (tb)
Stephen Scott (p)
Bob Cranshaw (el-b)
Perry Wilson (ds)
Kimati Dinizulu (per)

2001/09/15

 - ジャズ