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プラルド・ニッケルの《オール・ブルース》

プラルド・ニッケルの《オール・ブルース》

マイルス・デイヴィス作曲の代表的ナンバーの1つ、《オール・ブルース》。

この《オール・ブルース》の個人的ベスト名演は、シカゴでのライヴを記録した『プラグド・ニッケル』のヴァージョンを挙げたいと思います。

負けず劣らず『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』の《オール・ブルース》も素晴らしいのですが、よりエッジの立った『プラグド・ニッケル』のほうの演奏のほうにスポットをあててみましょう。

まずは鋭く力強いマイルスのミュート・トランペット。

アドリブの展開は、さすがにこの時期になると少しワンパターン気味ではありますが、それは「悪く言えば」の話で、「良く言えば」この素材の魅せ方を熟知したプレイともいえます。

きっとこの場所ではこのフレーズがベストと判断した上でのフレーズなのでしょう。

ハービー・ハンコックのピアノソロは、「これぞハンコック!」といわんばかりの、ハンコック18番のフレーズ(というよりは響き)が連打されるのですが、それだけに止まらないところが面白い。
前半のアドリブは、おそらく聴衆サービスなのでしょう、ハンコックにしては「らしくない」ブルーノート混ぜ混ぜの根っからではなく「意図的」なブルージーなフレーズが散発されます。

ちょっとクサい。
しかし、クサい内容を演るんだったら、臆面もなくクサさ全開で弾ききる思いきりの良さが、後にヘッドハンターズなどでヒットを飛ばすハンコックならではの資質なのでしょう。

気だるくない、明晰でシャキッとしたハンコック流ブルージーフレーズは、これはこれでシャキッといい味を出していると思います。

ショーターのテナーサックスのアドリブは?というと、とても構築的。
冷静ですな。

川の上流の流れのように激しくなったりゆるやかになったりする緩急自在なリズムに流されることなく、ドッシリと地に足のついてテナーの太い音が頼もしく感じます。

変幻自在なトニーのドラムも一瞬たりとも飽きさせてくれないし、ロン・カーターの「例のリフ」は、この変幻自在な演奏の通奏底流を時間の中に流し込んでいます。

とにかく、スタティックな美は素晴らしいのですが、時として少々退屈な『カインド・オブ・ブルー』バージョンの《オールブルース》とは打って変わて「生きた呼吸」をしている演奏が、『プラグド・ニッケル』のバージョンの《オール・ブルース》なのです。

記:2014/01/26

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