パンクとは? ラモーンズが教えてくれる

   

text:高良俊礼(Sounds Pal)

ラモーンズ ロックンロール

パンクロックとは、ものすごく大まかに言ってしまえば、既存のあらゆる事柄に対し「何だコノヤロー」と啖呵を切る行為である。

しかし「何だコノヤロー」と言うつもりが「オーケー、ロケンロー!」と、勢いよく言ってしまったバンドがいた。

彼らの名前はラモーンズ。

たった3つしかないコード進行、お約束の8ビートというシンプル極まりない演奏形態、長髪革ジャン、ジーンズという当たり前過ぎる彼らのいでたちはしかし「ロックンロールのカッコ良さそのもの」であった。

パンクロック

ラモーンズの言うところの「パンクロック」とは、ポップで親しみやすさが基本の、至極まっとうなものである。

社会の不条理に対し、徹底して異議を申し立てることは、今日まで芸術全般を支えてきた重要なエネルギーであるが、70年代の“パンクロック”というのは一方で、音楽性は二の次にされて、ミュージシャン達の過激な言動や、ファッション性にばかり世間の注目が集中して衰退していった。

私たちはパンクロックを見てきた。

「何だコノヤロー」と振り上げた拳が、振り上げられたその場所で何だか訳のわからないケバケバしいものにコーティングされ、そのまんま忘れ去られて行くのをたくさん見てきた。

そして大きな失望の溜息と一緒にこう漏らした。

「こんなのはパンクじゃない・・・」と。

ラモーンズ 反骨精神

一方のラモーンズは、そんなファンの勝手な期待や失望をよそに、1974年の結成から96年の解散までずーっと「オーケー、ロクンロール!」と言い続けてきた。

これは何という反骨精神だろう。そして何という硬派な美学なのだろう。

ラモーンズは、親近感とハードさを、絶妙なバランス感覚でコントロールできていた稀有なバンドである。

彼らの音楽を聴くには、やはりライヴ盤がいいだろう。

とことんポップでハジけたサウンドの向こう側にそびえるブ厚い美学な壁を感じて頂けたらと思う。

記:2014/09/06

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●高良俊礼(奄美のCD屋サウンズパル

※『奄美新聞』2003年3月19日「奇盤 珍盤 太鼓判」掲載記事を加筆修正

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