ザ・キッズ/サチモス
掴みバッチリ!飽きない定番曲
困ったことに、いや、嬉しいことにサチモスの新譜の『The Kids』がめちゃくちゃ良いのだ。
発売以来、もう何度も聴いている。
最初に聴いた時から、掴みはバッチリ! 一発で虜になった。
この『ザ・キッズ』には、私が最初に彼らに注目するようになったナンバー《ステイチューン》も収録されているし、ミニアルバム『ラヴ&ヴァイス』に収録されていた《フェイス》も収録されている。
そして、私のいま現在におけるサチモスのナンバーの中では最も好きな《ミント》が収録されているのも嬉しい。
ちなみに、この曲は昨年、クルマ雑誌から「夏のドライブにおすすめの曲」のコラム執筆の依頼が来た際に、取り上げた曲でもある。
つまり、既に発表されているナンバーとのダブりもあったりするわけだけれども、曲順が変わると、また新鮮な気持ちで聴けるので、それはそれでアリだと思うし、なにしろ《ステイチューン》も《フェイス》も何度聴いても飽きない良さがある。
これって、日本のポップスでいえば、椎名林檎のデビューアルバム『無罪モラトリアム』に出会ったとき以来の驚きと嬉しさ、そして同アルバムに収録された《丸の内サディスティック》を何百回(いや、バンドで演奏した回数を含めると何千回?)聴いてもまったく飽きなかったことと似ているかもしれない。
全曲すばらしい
今回の新譜は、困ったことに、いや嬉しいことに、全曲素晴らしいのだ。
普通は、ちょっとこれは飛ばして聴こうかと思ってしまうナンバーも1曲や2曲あるものだが、今回のアルバムには、まったくそのような類のものがない。
中盤のインストナンバーの《インタールード S.G.S.4》が、ちょっと大仰な気がしないでもないかなって気も最初だけしたけれども、何度も聴いているうちに、この繰り返しでじわじわと高揚感を増していく手法も悪くはないかなと今では思っている。
それにしても、メンバーひとりひとり、本当にセンスが良い。
特に、ギターのカッティングのセンスから音色、同様にキーボードのバッキングから音色選びのセンスも、本当に身体が裏返るほどに刺激的かつ魅惑的だ。
ぶっ太くうねるベースも、単に腰のある音色でグルーヴするだけではなく、ベースラインもなかなかユニークだ。
これらのフレーズ、音色、アレンジは、リハを繰り返す中のアンサンブルの中から閃いてくるものなんだろうけれども、ギターもキーボードもベースも、本当にアイデアが秀逸だ。
しかも、光るアイデアを出すだけではなく、楽曲の中でもっとも生きる音色とフレーズが脈打っているところが素晴らしい。
こんなバンド、今まで日本にいたっけ?ってほど。
で、秀逸なリズムセクション、プラスDJのサウンドの上にヴォーカルのヨンスの声が乗っかれば、否が応にも尖がってセクシーなサチモスの世界が立ち現れる。
これほど、メンバーの各楽器の個性が際立っていながらも、それぞれが放つ音が有機的に絡み合い、バランスよく共存しているアンサンブル、これはもう奇跡といっても良いのではないかと思うほど。
しばらくはヘヴィローテーションが続きそうだ。
このようにカッコ良い音楽にめぐりあえ、聴き続けられることに喜びを感じるハッピーデイズは、最低でもあと半年は続きそうだ。
どのナンバーもCMに使えそうでありながらも、安易にCMに使われてしまうのも勿体ないという想いもあったりで、要はそれだけ愛着が芽生えているのだろう。
今の時点ではサウンドに魅せられている自分がいるが、ゆくゆくは少しずつ歌詞も吟味していこう。
はじめてサチモスを聴くのなら、おいしすぎる粒よりの楽曲がそろったこのアルバムがオススメ!
これらの楽曲が演奏されるライブも体感してみたいものです。
まずは、どんな曲なんかいな?と興味を持った人は、YouTubeで検索すれば出てくると思うから、サワリだけでも聴いてみてちょ!
album data
THE KIDS (Space Shower Music)
- Suchmos
1.A.G.I.T.
2.STAY TUNE
3.PINKVIBES
4.TOBACCO
5.SNOOZE
6.DUMBO
7.INTERLUDE S.G.S.4
8.MINT
9.SEAWEED
10.ARE WE ALONE
11.BODY
記:2017/01/29