佐藤優『40代でシフトする働き方の極意』を読んだら歯医者に行きたくなった
2021/02/13
「働き方」のみの内容ではない
タイトルは「働き方」となっていますが、本書の内容は「仕事」のみならず、健康、人間関係、お金、時間の使い方、生活などにも及んでいます。
もちろん、これらの要素も仕事とは切っても切り離せない要素ではありますが、「働き方=仕事のコツ」のみが書かれた本ではありません。
どちらかというと「生き方(生活)の極意」としたほうが、近い内容になるのではないかと。
おそらく、このタイトルは、書店店頭で、新書コーナーのみならず、ビジネス書のコーナーでも展開して欲しいという意図の元のネーミングなのでしょう。
そうだ、歯石を取ろう!
それはそうと、佐藤優氏にしては珍しくマイルドなトーンで書かれた本だなというのが第一印象。
「だ、である」調の常体ではなく、「です、ます」調の敬体で書かれていることもありますが、比較的、われわれ一般庶民の目線まで降りてきて書いてくれているからなのでしょう。
ひとつのトピックスに関しても、およそ1ページから2ページ程度の分量なので、非常に読みやすい内容になっています。
個人的には、「仕事」に関しては、既に他のビジネス書に書かれているような内容と重複する箇所が多かったため、それほど参考にはなりませんでしたが、とりあえず、歯医者さんに歯石を除去しに行こうと思った(笑)。
「健康」に関しての記述で、歯石の除去がコストがかからない健康法であるということが書かれており、言われてみればそのとおりだな、と。
わかっちゃいるけど、やってない。
そういうことってありますよね?
昔から、親や先生が自分の将来のためを思って忠告してくれることほど、「わかっちゃいるけど、やる気がしない」ということが。
私にとって、「歯石」がまさにそうで、いきつけの歯科の先生からは、「あなたは、歯石が出来るのが早い人なので、マメに歯石を取りにいらっしゃい」といわれているにもかかわらず、しばらく歯医者さんには行ってないな。
どれぐらいの頻度で歯石を取りに通えばいいですか?と訊ねたら「半年に一回」と言われたんだけど、もう既に1年くらい経っているんじゃないかな。
50歳を過ぎると急速に歯が悪くなる。60歳になってから治療すると大変です。インプラントを入れると1本約100万円。5本入れたら500万円。この金で高級車が1台買えます。(中略)おすすめするのは、3ヵ月に一度くらいの間隔で医者に行って歯石をとってもらうこと。トータルな健康管理においても、余計な治療費をとられないという意味でも、歯を健康に保つということは非常に大切です。
こんなふうに書かれたら、もう歯医者さんに行って歯石を取らねば!と思いますよね?
それにしても、歯石が増えるのが早い体質っていったい私はどういう体質なんだろ?
唾液が多いとか、あ、よく飲み食いするからかな?
婚活のススメ
それはともかく、この本に書かれていることは、歯石の件もそうですが、「わかっちゃいるけどやっていないこと」を、佐藤優氏に「やったほうがいい」と後押しされると、「佐藤さんがそんなに言うなら、やりますよ」という気分になるから面白いですね。
「結婚」に関しても、相手がいない人は、(ツヴァイや楽天オーネットやゼクシィ縁結びカウンターやノッツェなどの)結婚サービスに登録してでも婚活すべきだと唱えられていましたが、これに関しても「佐藤さんがそこまで言うなら再婚を考えてみようかな」と思えてくるから不思議です。
佐藤氏の主張に説得力があるからなのでしょう。
ちなみに、私のように離婚歴があるオトコの場合、パートナーもバツイチ子持ちの方のほうが、結婚や子育ての苦労がわかっているので、互いに相手のことを大切に思い尊重しあえるのだそうです。
本の紹介に『コンビニ人間』が!
この本は、章末に佐藤氏おすすめの書籍が紹介されています。
すると、その中には村田沙耶香・著の『コンビニ人間』もあった!
先日読んで、わっ面白れぇ~!と思ったばかりほ本なので、なんだか嬉しくなってしまいました。
参考記事:映画化して欲しい『コンビニ人間』
それと、城山三郎の『毎日が日曜日』も紹介されていましたね。
この小説は、たしか中学生のときに読んだ記憶があるのですが、今読み返してみると、また違った面白さを発見できるかもしれないなと思いました。
ほかにも、『シャーロック・ホームズの冒険』や、夏目漱石の『門』(『それから』じゃないところが渋い!)、中野信子の『サイコパス』など、セレクトされた本の種類もバラエティ豊か。
読書の習慣のない人は、まず章末に紹介された本から読み始めても良いのではないかと思います。
友達は大切に!
対人関係に関しても参考になりました。
いたずらに友人関係を増やしすぎることよりも(かつSNSに翻弄されるよりも)、そろそろ整理をして本当に大切な友人を大切にすべきという主張には大賛成です。
私はそれほど友人が多いほうではありませんが、だからといって無理して作ろうとも思わない性質なんですね。
というより、単に不器用だから、相手のペースに合わせられない(プラス疲れる)ということが大きいかも。
でも、数少ない友達は大切にしたいと思っています。
もちろん、ベタベタした付き合いを求めるとかではなく。
こういうことも書かれてましたよ。
ウォルフガング・ロッツというイスラエルの伝説的なスパイが言うには、親友というのはその人間の体重と同じくらいの黄金の価値がある。金1gが約5000円として、70kgなら3億5000万円(笑)。サラリーマンの生涯所得くらいある。
そうか、もっと大事にしなければ!
あいつが3億円ね~(苦笑)。
そんなことを色々と考えさせてくれる佐藤氏の新刊でした。
40代のみならず、50代の人が読んでも参考になることが多いはずです!
記:2017/12/11