バンフ・セッションズ/ジョン・ストーウェル
2024/03/09
リーブマンの参加が効いている
これは、そうとうイイ。
カナダに拠点に活動しているギタリスト、ジョン・ストンウェルのリーダー作だ。
ニューヨーク生まれの彼は、10歳の頃からギターを弾き始め、リンク・チェンバーランドやジョン・ミーガンに師事し、ギターや理論を学んだという。1974年前後よりニューヨークのクラブに出入りしセッションで腕を磨く。そして、76年にデビッド・フリーゼンと出会い、彼のデビュー作に起用され、翌年の77年に初リーダー作を発表するに至った。
では、その約20年後に録音された本作『バンフ・セッションズ』は?
柔らかくもシャープでエッジの立ったみずみずしい感覚のストウェルのギターも良いが、もしかしたらそれ以上に、デイヴ・リーブマンのソプラノも良い。
フリー一歩前のフリーキーなアプローチに、柔らかく音程をベンドさせる技術など、この人のベテランっぷりにもますます磨きがかかった、って感じ。
抜群の存在感をふりまきながら、空間を自在に浮遊し、伸縮自在に音時間をコントロールするリーブマンのソプラノがあるだけでも、これは傾聴に値する。
前へ前へとアグレッシヴに前に出ていくのが持ち味のサックス奏者だという偏見も、これを聴けば認識が新になるかもしれない。
曲も良いしベースも良い
取り上げている曲も良い。
《マイルストーンズ》でしょ、《バイ・バイ・ブラックバード》でしょ、あと、《ナルディス》と、マイルス・デイヴィスの曲(マイルスの愛奏曲)を多く取り上げているのも嬉しい。
マイルス好きも要チェックです。
あと、エリントンの《イスファン》も素晴らしい選曲と演奏だと思う。
さらに、ドン・トンプソンのベースも良い。
ザクッ、ザクッと歯切れ良い音楽、潔く垂直に切り込んでゆくアタック感の心地よさ、この知的な迫力の前には、リーダーのストウェルのギターもかすんでしまうほど。
ソプラノサックス、ギター、ベースという珍しいトリオ編成で奏でられる演奏の音楽的充実度は抜群!
それぞれの個性を殺し合うことなくアンサンブルとしてのまとまりを維持しつつ、さらに互いが互いの個性を浮き彫りにした高度な演奏群。
多くのジャズ好きに耳を通して欲しいアルバムだ。
とにもかくにも、
やわらかなギター
⇒ジョン・ストーウェル
アグレッシブなサックス
⇒デイヴ・リーブマン
攻守自在なベース
⇒ドン・ソンプソン
際立つ3者の個性が美しく調和したスリリングなトリオといえる。
記:2001/10/25
album data
BANFF SESSIONS (Origin)
- John Stowell
1.Everybody's Song But My Own
2.Dreamsville
3.Milestones
4.Prelude to a Kiss
5.Once I Loved
6.Bye Bye Blackbird
7.How My Heart Sings
8.Isfahan
9.Nardis
John Stowell (g)
Dave Liebman (ss)
Don Thompson (b)
1998/07/30