ペギー・リーとデューク・ピアソンが描くブラックコーヒー
2021/02/08
ペギー・リーのハスキーで、耳のそばで囁かれるような、ゾクッとするようなヴォイス。
やはり、彼女の代表曲とされる《ブラック・コーヒー》が良い。
高めの女性の声を思いっきりトーンを落として、低音ヴォイスで歌うゆえ、そこにはブラックコーヒーのようなビターなニュアンスが生まれるのだ。
では、インストのブラックコーヒーは? というと、私はデューク・ピアソンの初リーダー作『プロフィール』に収録されているバージョンが好きだ。
コーヒーのほろ苦い味を描いたのがペギー・リーだとすると、ピアソンのピアノは、まったりとした大人の時間をピアノという絵筆を使い、時間というキャンバスに淡々と描写しているる。
そう感じる。
ペギー・リーのウィスパーヴォイスが低音なのに対して、デューク・ピアソンのピアノは高音を用いて「歌って」いるのが面白い。
この両者を聴き比べれば、同じブラックコーヒーでも、随分と趣きが違うことに気づかれると思うが、両者に共通した「まったり感」を演出しているのは、じつはベースだということにも気づかれるのでは?
テーマのベースのリフ、これがあるからこそ、“大人の時間”がまったりと演出されるのだ。
「まったりタイム」を刻むのは、じつはベースだったのですね。
とにもかくにも、デューク・ピアソンの控えめながらもツボをおさえたピアノは、おススメなので、このブルーノートの初リーダーアルバム、是非聴いてみて欲しい。
記:2005/05/18
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