カリフォルニア・シャワー/渡辺貞夫
資生堂のCMにも起用されたナンバー
渡辺貞夫を代表するベストセラーアルバム『カリフォルニア・シャワー』。
ジャズのアルバムで100万枚以上を売り上げているそうだから、おそらく「ジャズとして」ではなく、多くの人は、当時流行しはじめた「フュージョンという音楽」の1枚として購入し、聴き、心地よいサウンドに浸っていたのだろう。
あるいは、TVCMで使われたということも注目を浴びた大きな要因だったのかもしれない。
草刈正雄が出演する資生堂のシャワーコロンの「BRAVAS」のCMに使われていたということは後で知ったが、そのCMたぶん小さい頃見ていたはずなんだけど、記憶には残っていないな~。
キャッチ―なメロディとアレンジ
うきうきするようなキャッチーなメロディ(いたるところで耳にしている人も多いはず)、デイヴ・グルーシンのツボを得たアレンジ。
渡辺自身も伸び伸びとサックスを吹いているので、聴いているほうも伸び伸びリラックス。
ちょっと懐メロっぽくはあるけれども、夏の寛ぎの時間に最適な1枚ではある。
たしかに男の化粧品CMにはピッタリなキャッチ―なメロディではある。
しかし、「俺は今ジャズを聴いているぜ」という気分にはまったくならないので、そのへんはあらかじめ。
また、「別にジャズを聴いているぜ」という気分になれるものだけが良いというわけでは決してないので、そこのところも、あらかじめ。
チャック・レイニーのベース
個人的には、やっぱりこのアルバムはベースのチャック・レイニーを聴くためのアルバムだと思っている。
特に、タイトル曲《カリフォルニア・シャワー》のベースラインがレゲエっぽいベースを弾く時の参考になるかな~と思って軽くマネをしてベースを弾いてみたこともある。
ただこの曲、途中でフェードアウトしてしまうんだよね。
ピシッと終わってくれたほうが良いのに、といつも聴くたびに思ってしまう。
このアルバムの良いところは、リズム隊に当時のアメリカの一流リズムセクションを従えていることだろう。
ベースのチャック・レイニーは言うまでもなく、彼と抜群の相性を見せるハーヴィ・メイソンがドラムの椅子に座っている。
このベースとドラムのコンビネーションといえば、マリーナ・ショーの弩級名盤『フー・イズ・ジス・ビッチ・エニウェイ』を思い出す。
参考:フー・イズ・ジス・ビッチ・エニウェイ/マリーナ・ショウ
そして、ギターがリー・リトナー、エレピがデイヴ・グルーシンときている。
いやはや、なんとも贅沢な布陣。
一流のリズムセクションが形作る心地よいリズムにのって、さぞ気持ちよくサックスを奏でることが出来たに違いない。
渡辺貞夫の良い意味でリラックスした軽やかなサックス(曲によってはフルート)がアルバム全体に横溢しているのは、手堅いだけではなく広がりのあるリズムセクションの下支えがあってことなのだろう。
記:2000/07/13
album data
CALIFORUNIA SHOWER (Flying Disk)
- 渡辺貞夫
1.California Shower
2.Duo-Creatics
3.Desert Ride
4.Seventh High
5.Turning Pages Of Wind
6.Ngoma Party
7.My Country
Sadao Watanabe (as,fl)
Oscar Brashear (tp)
George Bohanon (tb)
Ernie Watts (ts)
Lee Ritenour (g)
Chuck Rainey (el-b)
Dave Grusin (p,el-p)
Harvey Mason (ds)
Paulinho Da Costa (per)
with full string section. Erno Neufeld
1978年3月 Los Angeles, California