やっぱりいいのよ橋本一子のUB-X
ポリグルーヴの刺激と美しさ
私にとってiPod(nano)は、外出時の必携品。
これがないと移動時間がとても味気なくつまらないものになる。
常に退屈しないように、頻繁にiPodの中身の曲を入れ替えているが、ここ2年間、ずっと消去せずに中に入れ続けている数少ないアルバムが橋本一子の『ub-x』だ。
飽きないんですよ。
飽きないということは、刺激がいつまでも続くということ。
最初から最後まで通しで聴くこともあれば、お気に入りの《パラレル》、《凛》、《モノリス》の3曲だけを抽出して聴くこともある。
これらは、冷たく鋭利な肌触りながらも、演奏そのものは熱く、新時代のクール・ピアノ・トリオとでも言いたくなるような内容なのだ。
音の肌触りも、現代的で非常にスタイリッシュ。
特に「ジャズ」、「ピアノトリオ」という意識でもって聴かなければ、人力で演奏されるクールなトランスミュージック的な趣きもある。
そう、以前、奄美大島で「音聴き会」のイベントを催した際も、開演前の店のBGMに、『Ub-x』を流したら、早速、お客さんから「今かかっているの何?」という問い合わせがあった。
薄暗い照明の、スタイリッシュな内装のバーにピッタリとマッチするサウンドゆえ、ジャズよりもトランス系を好むお客さんのハートをガッチリと掴むクールな演奏であることを実感した。
このアルバムの中で、もっともキャッチー、かつ代表となる曲は、やはり《凛》になると思うが、この曲はライブでもよく演奏されるナンバーだ。
何度か彼女のライブに足を運んだが、必ず演奏していた。
そして、演奏を重ねるほど、アルバムの演奏と比較すると、とろけるように美しく、さらにそれとは相反するかのような激しい内容に進化しており、回を重ねるほどアグレッシヴな演奏内容となっていることが嬉しい。
聴くたびに、全身に鳥肌が走るこのナンバーは、今後もますます進化を重ねてゆくことだろう。
橋本一子のグループub-xが提唱し、実践するポリグルーヴという演奏形態を代表するナンバー。そして、もっとも分かりやすいカタチで体言しているナンバーが《凛》なのだ。
ポリグルーヴって、一体なんなのさ? と知りなくなったら、まずは《凛》を紐解いてみることをオススメしたい。
百聞は一聴にしかず。
まずは聴いてみましょう。
記:2008/02/12