阿部等さんのデクスター・ゴードン特集

      2022/01/21

昨日、「いーぐる」の連続講演、阿部等さんによるデクスター・ゴードン特集に出席してきた。

もとより大好きなゴードンなだけあって、前々から楽しみにしていたんだけど、予想以上に良かった。

16曲中、9曲がブルーノートからのセレクションで、最初に選曲リストをいただいたときには、あらら、ちょっとバランス悪いんじゃないの? スティープルチェイスが少ないなぁ、なんて思ったのだが、実際データ上だけで感じる感触と、実際に最後まで音を体感した後で感じる感想はまったく違うもので、この選曲、この順番だからこそよかったのだと思わせる説得力に満ちた内容だった。

ここ数日、体調のすぐれない息子も、最初から行くつもりだったらしく(私は一人で行こうと思っていたのだが)、トコトコと私にくっついてきた。

昨日の朝より、調子は快方に向かいはじめていたし、デックスの音を浴びれば、きっと体調も治るだろう、音楽療法じゃい!と思ったこともある(笑)。

で、実際、最後まで飽きずに、じーっと音に聴き入ったり、ときには身体をユラユラさせて乗って聴いていたので、息子にとっても楽しい時間だったのだろう。

最後の質疑応答のところでは、自ら「ハイ!」と手を挙げて、阿部さんに「ゴードンって、元気な人だったんですか?!」と小学生丸出しな質問をして、周囲を笑わせたりもしていたが、そんな息子のトンチンカンな質問にも阿部さんは丁寧に応えてくださり、感謝です。

息子がいちばんノリノリだった曲が、ラテンリズムと4ビートが入り混じる《ソイ・カリファ》だった。

これはブルーノートの『スウィンギン・アフェア』に収録されているナンバー。

ゴードンならではの後ノリの味を生かしつつ、リズミックな単音の繰り返しが、妙に気持ちの良いテーマの吹奏が楽しめ、ビリー・ヒギンズの神経行き届いた細やかなドラムのサポートも気持ちの良いナンバーだ。

私は、『モンマルトル・コレクション』からの《ソニー・ムーン・フォー・トゥ》と、パウエル参加の『アワ・マン・イン・パリ』からの《スクラップル・フロム・ジ・アップル》だった。

『モンマルトル・コレクション』は、現在、廃盤なのだそうだ。
14~5年前は、私、ディスク・ユニオンで中古盤を千円ちょっとで購入したのだが、安く買っておいて良かった~(笑)。

もっとも、これだけの名盤なのだから、近々に再発されるかもしれないが。

両方とも、家でもしょっちゅうかけているナンバーだが、「いーぐる」のスピーカーから大音量で放たれる音で聴くと、もう鼻血がぶーっ!と出てしまうほどのド迫力なのだ。

とくに、後者はビシバシと煽りまくるケニー・クラークのドラミングが、もうリアルで鮮明で大迫力!

馴染みのある音源でも、聴く場所かわれば印象も変わるという好例だった。

ちなみに、なぜ息子は、「ゴードンは元気な人だったんですか?」という質問をしたのかというと……、
おそらくだが、彼は過去に何度か私が映画『ラウンド・ミッドナイト』を観ているところを息子も横で一緒に観ていたことがあり、ここでのゴードンは、なんというかユラユラ、ボーッとした感じの演技(それとも地?)だったが、「いーぐる」から流れるゴードンのプレイは、どれもがバリバリの大迫力だったので、その差にビックリしたからなようだ。

記:2008/08/31

 - ジャズ