ジャンピン・パンキンス/セシル・テイラー
屈折した快感
ヘンな言い方かもしれないけれども、セシルのわりにはタイトル曲は聴きやすい。
それは、ホーンを前面に押し出したアンサンブルゆえの結果ともいえ、珍しく引くところではキチンと引いているテイラーの役柄心得の賜物でもある。
参加ジャズマンは、他のキャンディドでの吹き込みと同様に、トロンボーンにラズウェル・ラッド、ソプラノサックスにスティーヴ・レイシー、テナーがアーチー・シェップ、ビャールズ・デイヴィスがバリトンサックス。
ホーン陣は以上だが、リズム隊はブエル・ネイドリンガーはいつもの通りだが、今回ドラムはビリー・ヒギンズ。
オーネット・コールマンの『ジャズ来たるべきもの』や、リー・モーガンの『ザ・サイドワインダー』を思い出すまでもなく、彼の持ち味である安定したシンバルレガートに加え、効果的にスネアの合いの手。
これが、テイラーの硬質なノリのピアノにはピッタリのコンビネーションに感じるのだ。
メロディを弾く、というよりは曲という機会のねじを緩め、蓋を外して中身の機械をいじりまわして、別の機械を作り上げているようなテイラーのピアノは相変わらず。
「面白い・つまらない」
この二者択一で聴かれれば「おもしろくない」のほうに手をあげざるを得ないが、おもしろくなくとも、興味深く、刺激的なプレイであることには変わりない。
このアルバムをまるまる半日の間、リピートさせながら昼寝をしていたことの私だからこそが分かる「屈折した快感」。
これが楽しめるようになるには、さほど時間は要しない。
記:2009/01/21
album data
JUMPIN' PUNKINS (Candid)
- Cecil Taylor
1.Jumpin' Punkins (take 6)
2.O.P. (take1)
3.I Forgot (take1)
4.Things Ain't What They Used To Be (take3)
Cecil Taylor (p)
Clark Terry (tp) #1,4
Roswell Rudd (tb) #1,4
Steve Lacy (ss) #1,4
Archie Shepp (ts) #1,3,4
Charles Davis (bs) #1,4
Buell Neidlinger (b)
Billy Higgins (ds) #1,4
Dennis Charles (ds) #2,3
1961/01/09,10