2分にも満たないビリー・ホリデイの《オール・オブ・ミー》には、人生の様々な光景が凝縮されているのだ
ジャズファンならずとも、《オール・オブ・ミー》という曲はご存知でしょう。
フランク・シナトラの名唄、
レスター・ヤングの名演奏……。
多くのミュージシャンが素晴らしい歌や演奏を残しています。
では、誰の《オール・オブ・ミー》が最高か?
……というと、
個人的には、ビリー・ホリデイですね。
しっとりと歌ったスタジオ録音のバージョンや、アップテンポで歌ったライヴのバージョンなど、いくつかのバージョンが残されています。
個人的には、『ビリーズ・ブルース』の《オール・オブ・ミー》が好きでよく聴きます。
なにがいいって、メロディの「崩し」が絶妙なのです。
崩しというよりは、もう別のメロディになっちゃっている。
しかも、この旋律は、ビリー以外の誰が歌ってもきっとフィットしないんだろうなと思わせるほどのビリー節。
スタジオ録音のバージョンも後半はビリーならではのメロディの崩しがはいっていますが、やはり、ライヴでの歌唱が、テンポも速いためか、ビリー節に勢いと生命力が宿っています。
1分40秒ちょっとの演奏。
2分に満たない短いナンバーではありますが、この中には、人生の様々な光景が凝縮されているように感じるのです。
記:2015/06/09