クロースネス/チャーリー・ヘイデン

      2021/01/30

異なる個性とのデュオ演奏

これを聴くときは覚悟がいる。

いや、覚悟といってもそんな大袈裟なものではなく、要するに「ちゃんと聴くぞ」という、ある意味アタリマエな心構えが必要だということ。

少なくともBGMに成りうる音楽ではない。少なくとも、ながら聴きは絶対に避けよう。

音からなにがしかをキチンと感じ取るぞという気持ちの姿勢で対峙しないと、ちょっとツラいかもしれない。

とはいえ、ズーンと地底の奥深くまでもぐって行きそうなヘイデンのベースに耳を欹(そばだ)てれば、イヤでも、“世界”に引き込まれるに違いない。

ひどく深く、内省的な世界だ。

“暗い”のではない。

重いのだ。

それはそうだ、ヘイデンはシンプルなベースで、共演者の“いままでの人生”を引き出しているのだから。堆積した時間が、一音の重みに込められ放たれる。

そうせざるを得ない空間をヘイデンの重低音が形作る。

まるでヘイデンを引き立てるように、彼の低音に寄り添うような音を奏でるソロ奏者、それぞれ4人。

ヘイデンとの共演者は、キース・ジャレット、オーネット・コールマン、アリス・コルトレーン、ポール・モチアン。

個人的にはオーネットとの共演が素晴らしいと感じている。

かつての共演者、盟友同士。

勝手知ったる仲同士だが、甘えを廃した緊張感の保たれた音の交感だ。

キースのピアノも、キース色が薄れ、ヘイデンがピアノを弾いたらこうだろうな、と思わせるもの。

もしかしたら、ヘイデンは共演者の身体と楽器を借りて、自分の音を奏でているのかもしれない。

記:2009/03/13

album data

Closeness (Horizon)
- Charlie Haden

1.Ellen David
2.O.C.
3.For Turiya
4.For a Free Portugal

Charlie Haden (b)
Keith Jarrett (piano) #1
Ornette Coleman (as) #2
Alice Coltrane (harp) #3
Paul Motian (per) #4

1976/01/26
1976/03/18 &21

 - ジャズ