モントルー 82/チャ―ルス・ロイド
動画解説
ペトルチアーニが素晴らしい!
あの《フォレスト・フラワー》再び!
チャールス・ロイドが、若手のキース・ジャレットや、ジャック・ディジョネットたちを従えて演奏したのが1966年だから、16年ぶりのモントルーでの再演録音となる。
名盤『フォレスト・フラワー』を聴いた身として、やはり気になるのが、テーマが終わってピアノが飛び出てくるところだ。
あの、あまりに鮮烈なキース・ジャレットのアドリブが頭に焼き付いているがために、では、新生バンドのピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニは一体どのようなピアノでアプローチしてくるのだろうかと、おそらくは誰しもが抱く興味だろう。
ペトルチアーニは、キースのように、最初の一音から全速では飛び出さない。
しかし、ブライトかつ印象的なタッチで、この演奏を彩っている。
ペトルチアーニのアドリブも悪くない。
いや、かなり良い。
66年に演奏された《フォレスト・フラワー》を強烈に印象づける大きな要素は、キースのピアノであることは間違いないのだが(もちろんディジョネットのドラムも)、それゆえ、この曲に定着したイメージをあたかも塗り替えんがごとくの演奏をしたペトルチアーニの雄姿も記憶に刻まれることだろう。
もちろん、66年のモントルーでの演奏は、ドラムのジャック・ディジョネット、ベースのセシル・マクビーの強力な演奏で多くのリスナーの印象に刻み付けられているが(何しろ『フォレスト・フラワー』のセールスは100万枚を突破しているからね)、この「比較されるに違いない」というプレッシャーの下、むしろ前の演奏をバージョンアップさせているのではないかとすら思わせる、パレ・ダニエルソンのベース、そしてサン・シップ・ゼウスのドラミングも素晴らしい。
それにしても、ほわりとしていながらも、次第にエキサイティングに盛り上がる要素も有している《フォレスト・フラワー》という原曲そのものも素晴らしいと思う。
このアルバムの曲順では、《フォレスト・フラワー》はラストに配されている。
おそらく、82年のモントルーでの曲順もラストだったと思われるが、当時の聴衆は、「今か、今か」と待ち構えていたに違いない。
そして、ラストで鮮やかに放たれた《フォレスト・フラワー/サンライズ、サンセット》を聴き、狂喜乱舞したことは想像に難くない。
記:2019/12/21
album data
MONTREUX 82 (Elektra/Musician)
- Charles Lloyd
1.Introduction
2.The Call (Imke)
3.Wind in the Trees
4.Very Early
5.Michel
6.Forest Flower: 1.Sunrise 2.Sunset
Charles Lloyd (tenor saxophone, flute)
Michel Petrucciani (piano)
Palle Danielsson (bass)
Son Ship Theus (drums)
1982/07/25 Montreux Jazz Festival, Switzerland