自由に演ると結構楽しい《ネフェルティティ》
チャレンジ!《ネフェルティティ》
先日、時々集まってジャズを好き勝手に演奏するバンドで《ネフェルティティ》をやってみた。
マイルス・デイヴィスのアルバム『ネフェルティティ』に収録されているウェイン・ショーター作曲のナンバーですね。
アドリブのないテーマのみが延々と繰り返される演奏。
それがまた不思議な魅力を醸し出しているんですよね。
だから、やってみよう!ということで、私が《ネフェルティティ》の譜面をコピーして、みんなに配ってやらせてみたの。
そしたら、みなさん、うーん、難しい、っつーかよくわかんねぇなんていいながらも、やっているうちに、ショーターやマイルスの世界、あるいはチック・コリアが演奏した《ネフェルティティ》とは違った、うちらバンドの色が色濃く出てきた面白い演奏になったんじゃないかと思う。
なんだか、演奏者の個性を露骨に引き出しちゃうんですかね、この曲。
私も、『リアルブック』に記載されているコードは一応ガイドラインとしつつも、演奏がまとまってこなれてゆくにしたがって、自由に絵を描くような感覚でベースで色をつけていった。
そう、まさに絵を感覚なんだよね。
弾く、というんじゃなくて、音(色)を載せる、って感じで。
ミステリアスで、原曲を研究解剖しようとしたらキリのない作業というか、やればやるほど袋小路に陥りそうな曲ではあります。
しかし、そういった分析的なことは、いったん忘れて、雰囲気コピーというか、曲の大雑把な輪郭を把握したら、あとは適当に、いや、自由に各メンバーが音を出しつつ、それがぶつかりあって生まれる雰囲気を楽しむと、これはなかなかヤリガイのある曲ではあります。
チックとセシル
実際、自分が演ってみた後に、様々なジャズマンが演奏したナンバーを改めて聴いてみると、なかなか興味深い上に、それぞれのジャズマンの演奏上のコンセプトや狙いがより一層に明確に聴こえてくるので興味深いですね。
たとえば、チックの『A.R.C.』の演奏は、かなり独自にチック色を出しているなと思って聴いていたんですが、じつはかなりマイルスやショーターが作り出したムードを踏襲しているよな~とか。
しかし、その反面「オレはハンコックじゃないぜ~」という自己主張も散りばめられている(マイルスのオリジナル演奏のピアニストはハービー・ハンコック)。
いまだに難解でよ~わからないのが、セシル・テイラーのカフェモンマルトルでの演奏ですね。
Complete Live At The Cafe Montmartre
いや、輪郭や片鱗はよくわかるんだけれども、いったいどういうロジックで、どういうコンセプトでこの曲を料理しているのか、まだ掴み切れない。
もっとも、だからこそ興味深さを感じるわけであり、何度も聴いてしまうわけなんだけれども。
そう簡単に分かってしまったら、セシルを聴く楽しみも半減しちゃうからね。