オーネットの『ジャズ来るべきもの』、この曲を忘れていませんか?

      2021/02/06

オーネット嫌いは《淋しい女》が原因?!

「オーネット・コールマンがいまいちよく分からない」という人は、一番最初に《淋しい女》を聴いてしまったからではないか?

それが原因で、今後オーネットの音楽に関しては耳に蓋をするようになってしまったら、それは、ものすごく勿体無いことだと思うのです。

それはなぜか?

読むのが面倒な人は、聞いたほうが早いかも。

たしかに《淋しい女》は良いのだが……

たしかに名盤『ジャズ来るべきもの』を代表するナンバー《淋しい女》は素晴らしいです。


ジャズ来るべきもの

名曲です。

演奏も素晴らしいです。

アレンジも凝っています。

アプローチがユニークです。

奄美大島の高良俊礼氏も、いかにこの曲が素晴らしいのかをお書きになられて、このサイトにテキストをご寄稿いただいています。

こちら⇒オーネットの淋しい女

何回聴いても、ムンクの絵を見ているような不安定な気分になります(違う?!)。

そこには捩じくれた美があります。

アルトサックス、コルネット、ベース、ドラム。このたった4つの楽器で醸しだすこの濃厚なムードは、ある種のドロドロさ、おどろおどろしさも感じられます。

そう、だからこそ《淋しい女》でオーネットのことを嫌いになりそうな人(嫌いになった人)は、オーネットというジャズマンは、濃くて、ドロドロで、おどろおどろしくて、難解という誤まったイメージを持たれてしまっているのではないでしょうか?

違いますって。

オーネットの本質は単純明快な素朴さである

逆です。

オーネットは単純明快で、あっけらかんとしています。

漫画的で、素っ頓狂ですらあるかもしれません。

他のジャズがハードカバーの書籍だとしたら、オーネットの音楽は絵本です。

《淋しい女》が例外なんです。

だから、《ピース》。

《ピース》こそオーネットの本質

《ピース》という曲を忘れていませんか?

同じ『ジャズ来るべきもの』に収録されています。

じつに、あっけらかんとしています。

くわえて、すっからかんでもあります。

すっからかんなほど、風通しの良い演奏です。

2本の管楽器とベースとドラムという、ピアノがいない編成(ピアノレスカルテット)ならではの心地よい音と音の隙間が生きている演奏です。

本当に同じアルバム収録の同じ編成の演奏なのかと訝しく思うほど、《淋しい女》とは異なる感触です。

メロディもシンプル。
まるで、幼児が画用紙にクレヨンで書いた一筆書きのようです。

私は、むしろ、こちらのテイストのほうがオーネットの本質だと思っています。

もちろん、《淋しい女》のようなグジョグジョとしたサウンドもオーネットの持ち味の一つではありますが、どちらかというと、単純・素朴・ストレートなところが、オーネット・コールマンの本質なのではないかと思うのです。

だから、『ジャズ来るべきもの』を買い、《淋しい女》や、それに続くけたたましい《イヴェンチュアリー》を聴いて、オーネットに対して「難解」「よくわからん」というイメージを持たれた人には、「《ピース》を忘れていませんか?」と問いたいんですね。

《ピース》大好き。
《ピース》いい曲ですよ。

『ジャズ来るべきもの』は、いちおう持ってるけど、どんな曲だったっけ?

そんな方は、今一度《ピース》を聴き返してみよう!

心地よいっすよ♪

記:2018/12/29

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