ジャズのヒーローは、やっぱりロリンズ!
意外と少ない「ヒーロー」
好きなジャズマンはたくさんいます。
カッコいい音を出すジャズマンもたくさんいます。
だけども、私の場合「ヒーロー」と呼べるジャズマンってそれほど多くないです。
たとえば、ビル・エヴァンスは個人的には好きなジャズマンの一人だけども、ヒーローって感じはしません。
ヒーロー色よりも芸術家色のほうが強いかな。
セロニアス・モンクも好きだけども、彼もヒーローというよりは、「賢者」って感じ。
それは、コルトレーンもドルフィーもショーター一緒で、彼らは「哲人」ってニュアンス。
キース・ジャレットは「詩人」って言葉のほうがピッタリくるし、オーネットは「自由人」。
……と、音とルックスのイメージからパッと思い浮かぶ言葉が「ヒーロー」なジャズマンって以外と少ないです。
マイルス、ロリンズ
その中で、マイルス・デイヴィスとソニー・ロリンズが、私にとっては数少ない「ヒーロー」という言葉がしっくりくるジャズマンです。
あとは、そうだなぁ、ジャコ・パストリアスもそうだね。
しかし、上記3人のうち2人はすでに鬼籍にはいってしまってます。
残る1人、いまだ現役でバリバリ活動しつづけている、生けるヒーローは、ロリンズ!なんですね。
ロリンズは豪快な演奏姿、これは一度見るだけで、男でも惚れてしまいます。
単刀直入でまどろっこしいことを嫌う(ように見える)音もヒーローの条件を満たしています。
そして、あの巨躯、素敵な笑顔もヒーローそのもの。
活動歴長く、親しみやすい定番曲や心に残る演奏もたくさん残している。そのうえ、難しすぎないが、奥も深い。
やっぱり、ロリンズがいいな~。
バイタリティ!
おそらく、「ロリンズ=ヒーロー」説に同感されるジャズファンも多いことでしょう。
しかし、ヒーローだと感じている時期やアルバムはずいぶんと異なるのではないかと思うのです。
たとえば、ストーンズのアルバムに参加した前後のタフに吹きまくる80年代前後のロリンズなどは、いろいろな映像が出回っているので、その吹きっぷりからカッコええ!と感じられている人も少なくないと思います。
具体的には『Gメン』とかね。
1986年、野外で演奏されたライヴがそのままアルバムに収録されているのですが、出来れば、その勇姿は、映像付きで見てもらいたいです。
おそらくYouTubeでロリンズの名前にプラスして「1986」や「Gman(Gmen)」などのキーワードを入力して検索すれば出てくるのではないかと思います。
時にステージから下に降りて地面に根っころがりながら、それでも猛々しくテナーサックスを吹くたのもしきバイタリティ。
うん、カッコいい。
ぜひぜひご視聴あれ!
もしかしたら、この猛々しいトーンが自分たちバンドのサウンドを彩ると判断して、ストーンズは『刺青の男』のレコーディングにロリンズを起用したのかもしれないね。
ストーンズのサウンドに溶け込むロリンズのテナーは、ジャズやロックを超えて、これはもはや逞しき男の哀愁です。
ラスボスをやっつけたヒーローと夕陽。
たそがれ夕焼け番町の世界。
やっぱり、ロリンズこそヒーローなのだ!
記:2011/10/06