サウンド・レイ/レイ・ブライアント


Sound Ray

のりのりハッピー、楽しいピアノトリオ

レイ・ブライアントならではのテキパキとしたコシのあるタッチで弾かれる《ソング・フォー・マイ・ファーザー》に《コン・アルマ》。

まさに彼にぴったりな曲がいきなり冒頭から2曲連続でたたみかけられて、うーん、まいった!

少しずつ身体の内側からムズムズ、やがて心も身体もノリノリに変わるまで、さして時間は要しないだろう。

比較的原曲に忠実ながらも、微妙に旋律と和声にちょっとしたアレンジをほどこした《ソング・フォー・マイ・ファーザー》の演奏は、まるで作曲者のホレス・シルヴァーに「どうです、シルヴァーさん? おいらの解釈もなかなかのものでしょ?」と無言で語りかけているかのようだ。

原曲のキーの「F」から、あえて1度上げた「G」に持ってくるあたり、よりブライトなサウンドに持っていこうという意図が感じられ、そしてこのナンバーを冒頭に持ってくることからも、アルバム全体をキャッチーで親しみやすいサウンドで通そうという意思(意図)が感じられる。

お次の《コン・アルマ》。この曲をタイトルにもってきた、その名も『コン・アルマ』というアルバムも出しているほどだから、ブライアントにとっては18番のナンバーなのだろう。

>>コン・アルマ/レイ・ブライアント

8年前の1961年に録音された『コン・アルマ』のヴァージョンも素晴らしいタッチとプレイだが、こちらのほうの演奏は若干速めなテンポで、コクよりもノリを優先させた演奏を狙っているのだろう。

こなれたタッチで奏でられるこちらのヴァージョンもグー!

ただし、ラストのフェードアウトはいただけない。
最後まできちっと聴かせてほしかったですね。

そして3曲目がサイモン&ガーファンクルの《スカボロフェア》。

原曲の印象的な例の箇所、"She once was a true love of mine."のところのピアノさばきなど、まさにブライアントならではのアプローチで、「どうだっ!(にやり)」と、いった心の声がピアノから聞こえてくるほど。

こにくらしいほどに小慣れた掴み抜群の演奏だ。

もうこの3曲を連続してたたみかけられたら、もうグーの音も出ないでしょう。

レイ・ブライアントの良いところが、ゲップが出るほど封じ込められているにもかかわらず、このアルバムが彼の代表作にあげられないのは、あまりに通俗的過ぎるという評価だからなのかな?
選曲も演奏も通俗的であり、さらにソウルっぽく「ジャズっぽくない」という印象を与えるがゆえ、「ジャズマン」としてのブライアントを紹介するには相応しくないという判断がくだされているのだろう。

うん、そうに違いない。

だからこそ、《ゴールデン・イヤリング》が収録された格調高げな、ある意味レイ・ブライアント「らしくない」アルバム、『レイ・ブライアント・トリオ』のほうが代表作の1枚に長年選ばれてきた(選ばれ続けている)のだろうね。

>>レイ・ブライアント・トリオ/レイ・ブライアント

『レイ・ブライアント・トリオ』にいまひとつピン!と来なかった方は、ぜひ『サウンド・レイ』をどうぞ!

楽しいですよ。

記:2020/05/02

album data

SOUND RAY (Cadet Records)
– Ray Bryant

1.A Song For My Father
2.Con Alma
3.Scarborough Fair
4.Stick With It
5.Broadway
6.Li’l Darlin’
7.The Look Of Love
8.Sound Ray

Ray Bryant (p)
James Rowser (b)
Harold White (ds)

1969年6月

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>>ソング・フォー・マイ・ファーザー/ホレス・シルヴァー

ジャズ

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