カフェ・モンマルトル

高野雲の雑記帳。音楽・映画・読書・模型。

テテ/テテ・モントリュー

   

テテの代表作

一言、爽快!

胸のすくようなアルバムだ。

素晴らしいテクニックの持ち主、テテ・モントリュー。

スペイン出身のカタロニア人。

盲目のピアニストだ。

私が彼の存在を知ったのは、四谷のジャズ喫茶「いーぐる」で大音量で流れてきた《ジャイアント・ステップス》に圧倒されたのがキッカケ。

「お~、なんだ、この圧倒的な《ジャイアント・ステップス》は!」と、本当に仰け反ってしまった。

コード・チェンジの激しいコルトレーンの難曲を軽々と料理している一曲目から、いきなり圧倒される。

危なっかしさなどまったく感じさせない、この堂々としたアドリヴはどうだ!

まさに、圧倒的。

ドライブしまくりの演奏に度肝を抜かれたのが、そもそもの私がテテというピアニストを知ったキッカケ。

強いメリハリのあるタッチ。圧倒的なドライブ感。流れるように湧き出る歌心。

掟破り(?)のアップテンポで演奏される《ボディ・アンド・ソウル》も気持ちが良い。身体が自然に揺れてくる。

長尺演奏ということを忘れさせてくれる、素晴らしいノリと演奏だ。

もう、この2曲で私は『テテ!』の虜になっちゃいましたね。

ケニー・ドリューの『ダーク・ビューティ』では、アルバート・ヒースの“ボム!バム!”といった垂直ノリのドラミングが耳について仕方がなかったが、テテのピアノとアルバート・ヒースの垂直ノリは非常に相性がいいと思う。

テテの、テキパキとドライブするピアノを聴いていると、アルバート・ヒースの“垂直ドラム”はさほど気にならないのだ。
というよりも、相乗効果で演奏をますますエキサイティングなものにしている。

それにプラスする形で、ニールス・ぺデルセンの前へ前へと突き出てゆくようなベースのノリが加わるので、もうこのスリリングさたるや!

間違いなく、テテを代表する1枚だと思う。

マイルス、コルトレーン、ダメロン、ゴルソンら、ジャズの大物の有名曲を中心に選曲されているので、テテ入門としても最適なアルバムだと思う。

記:2003/06/07

album data

TETE! (Steeple Chase)
- Tete Montoliu

1.Giant Steps
2.Theme From Ernie
3.Body And Soul
4.Solar
5.I Remember Clifford
6.Hot House

Tete Montoliu (p)
Niels-Henning φrsted Pedersen (b)
Albert "Tootie" Heath (ds)

1974/05/28

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Steeple Chase
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追記

難曲を平然と弾きまくる

楽器でジャズをかじったことがある人と、ない人の差は、テテ・モントリュー・トリオの《ジャイアント・ステップス》をどう捉え方の違いがあると思います。

これに抱く感想の温度差は、かなりのものだと思います。

楽器をやっていない人は、普通の勢いあふれるピアノトリオの演奏の一つとして感じるでしょう。

あまりにも普通に、平然と、しかもエキサイティングに演奏しているから。

しかし、楽器経験者で、しかも一度でも《ジャイアント・ステップス》にトライしたことがある人は、口をアングリと開けて、驚き桃の木山椒の木状態になるしかないのです。

コード・チェンジが目まぐるし過ぎるコルトレーンの難曲をあまりにも普通に、平然と、しかもエキサイティングに演奏しているから。

しかもアップテンポで。

『テテ』に収録された演奏は、テテのピアノも、ペデルセンのベースも、まったく破たんがなく、確信と力強さに満ちているのです。

もちろん、難しいことを難しく感じさせないのもプロの条件なのかもしれません。

しかし、素材が素材です。

コルトレーンのオリジナル・バージョンでは、あの名手、トミー・フラナガンでさえ、自分のソロパートになると、戸惑いが生じ、途中でピアノを弾くのをやめてしまう箇所があるくらいですから。

もちろん、ただ凄いと思わせるだけではなく、演奏内容も抜群の躍動感に溢れています。

なので、難曲云々ということを思い浮かべる以前に、単純に、元気なピアノトリオの演奏として楽しめるのです。

それだけではなく、他のナンバーも爽快演奏の連続。

だからこそ、『テテ!』は素晴らしいピアノトリオのアルバムなのです。

記:2015/06/01

コルトレーン的アプローチ

ジョン・コルトレーンが『コルトレーンズ・サウンド』で演奏した《ボディ・アンド・ソウル》は、ある意味《ボディ・アンド・ソウル》の革命だったのかもしれない。

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そして、おそらく多くのジャズマンは「ボディ・アンド・ソウルといえば、コールマン・ホーキンスだったが、そうじゃないアプローチもあってもいいんだ」と膝を打った、……のかもしれない。

「こういうやり方もアリ」の要素の1つが、テンポ。
そしてメロディ。

しんみりと演奏するだけではなく、アップテンポ気味に演奏してもサマになるということをおそらくコルトレーンの演奏を聴いて気付いたジャズマンは少なくないのかもしれない。
そして、メロディ。
クロマティカルにちょっと半音ズラして崩す。原曲のメロディの面影はきちんとわかるように。

すると、同じ曲でありながらも、まるでバージョンが0.1どころか0.5くらいアップしたような新たな趣きを古いバラードが獲得する。

このコルトレーンのアプローチのおいしいところをしっかり&ちゃっかりとモノにしているのがピアニスト、テテ・モントリューだ。

リーダー作『テテ!』で演奏している《ボディ・アンド・ソウル》など、ピアノはマッコイ流モードチックな和声感覚ではないが、テンポ、メロディはまったくもってコルトレーン的アプローチだ。

まさに俺にピッタリのアプローチだよ!といわんばかりに、テテは水を得た魚のようにピアノを弾いている。

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>>コルトレーンズ・サウンド/ジョン・コルトレーン

記:2023/01/07

 - ジャズ