ザ・ベース道・演奏全体を大きく包みこもう
2018/01/14
ベースは、多くの場合、演奏のボトムを支える役割を担っている。
そう、演奏の屋台骨だ。
屋台骨がグラつけば、演奏全体もグラつきやすい。
だから、しっかりと、支えてあげなければならない。
しかし、支えるだけではもの足りない。
演奏全体を大きく包んであげよう。
共演者がどこへ翔んでいっても、しっかりと戻ってこれるように。
ハジけることへの不安を抱いている共演者の気持ちをリラックスさせてあげる。
演奏全体にグッと深みを与えてあげる。
表面的な音だけに拘泥せずに、しっかりと全体の手綱を握っている。
派手でなくとも、演奏者全員としっかりと「繋がっている」状態。
では、どうすれば、演奏全体を大きく“包むような”ベースを弾けるのだろうか?
「指が動く、動かない」といったような表層的なテクニックだけの問題だけではない。
・曲の理解。
・曲への愛情。
・曲を大きく捉えて、全体を見渡せるだけの器の大きさ。
・自分だけではなく、共演者の音を聴く余裕。
・演奏に対しての自信。
・自分が出している、一音一音に対しての確信。
・メンバーへの細かい心配り。
・すべての楽器の音に、自分がどう関係しているのか、していないのかを考える。
・会場の雰囲気や、共演者のトチりに引っ張られない肝力。
こういったことを考えるか、考えないか。
こういう状態になれるか、なれないかの差だと思う。
言うまでもなく、まずは、寝ていてもスラスラと曲が弾けるぐらいのレベルからスタートすることが大前提。
曲がスラスラと弾けるようになった。
そこで満足して終わるのか。
この状態から、より一層「磨き」をかけるのか。
この意識の差が包容力のあるベースを弾けるか弾けないかの境界線となることだろう。
そして、これが出来る状態こそが、最上の“テクニック”なのだし、「ベース道」が目指すところの最終的な到達地点なのだ。
むろん、一朝一夕で達することの出来る境地ではない(もちろん私もまだまだだ)。
しかし、日々精進を重ね、「自分だけに良い(酔い)ベース」ではなく、共演者に、そして、聴いてくれている人にとっても良いベースを目指すべきだ。
経験、場数、知識、読書、失敗、恋愛、食事、旅、良い音楽、音楽以外の芸術作品、道端の風景、気分の良いこと、不愉快なこと……。
なんでもガバッと呑み込んで、全部肥やしにしてしまおう。
記:2002/01/02(from「ベース馬鹿見参!」/ベース道)