淡々と名演。スタン・ミーツ・チェット
バトってはいないが意識しあっている
スタン・ゲッツとチェット・ベイカーの共演。
いや、競演とでもいうべきか?
決して熱いバトルの火花は散ってはいないんだけど、テーマのアンサンブルに感じる「そこはかとないヨソヨソしさ」に、互いが互いの存在を意識しているんじゃないかというムードが漂っているように感じる。
だからこそ良いんだよね。
この距離感が。
寄り添いすぎていない。
かといって、突き放しているわけでもいない。
ある意味、淡々と良い演奏が進行していく。
それで良き時代の良きジャズのムードがむんむん。
ゲッツもチェットもメロディアスですよね。
でも、だからといって単純になごめるのかというとそうでもない。
相手に弱みをみせないぞ的な緊張感が露骨にではないけれど、微弱に維持されて演奏が進行していくので、こちらも飽きずに一音一音フレーズを丁寧に拾いながら楽しむことが出来るのですね。
特にゲッツ。
ちょっと不愛想なくらい淡々としているところもあるけれど、ちゃんとゲッツしているというか、良質なジャズになってしまっている。
そこが面白いし、「ゲッツに駄盤なし」の秘密はここらへんにあるのではないかと。
《アイル・リメンバー・エイプリル》、《ニューヨークの秋》、《エンブレイサブル・ユー》、《ホワッツ・ニュー》、《ジョードゥ》。
名曲揃い。
じわじわと長~く楽しめます。
記:2020/03/06