アット・ストリーヴィル/チャーリー・パーカー

   

ひたすらパーカーを追いかけよう

ボストンでのライブの実況録音の音源だ。

ノイズが多いが、鑑賞の妨げになるほどではない。

パーカーのプレイに関していえば、圧倒的な閃きは期待できないかもしれないが、その分、安定したプレイが楽しめる好盤だ。

前半のピアニストはレッド・ガーランド。

ただ、あの美しいシングルトーンや、ブロックコードをイメージして聴くとちょっと期待ハズれかも。あくまでパーカーを引き立てる、“いちピアニスト”としてしか聴こえてこない。

しかし、それはガーランドの力量云々の問題ではなく、パーカーの存在が圧倒的だから。
それに、録音の状態、バランスもあると思う。

ジョン・ルイス、ドド・マーマローサ、ハンク・ジョーンズ、アル・ヘイグなど、名だたるピアニストがパーカーと共演しているが、パーカーの音の存在感のあまりの大きさに、正直サイドマンとしてのピアノの良し悪しってあまり伝わってこないレコーディングが多いんだよね。

ま、パウエルは別格だけれども。

そんなわけで、これは他のパーカー音源と同様、サイドマンにこだわらず、とにかくパーカー、パーカー、パーカーの音、プレイをひたすら追いかけるアルバムなのだ。

気軽な気持ちで、肩肘張らずに聴けるのが良い。

当時、会場にいた客のつもりになって、こちらも酒など飲みながら、リラックスかつ楽しく聴いてしまおう。

するすると心地よく「歌い」つつも、どこかほんのり翳りのある《アウト・オブ・ノーホエア》。

明瞭闊達なれど、そこはかとなく「佗・寂(わび・さび)」を感じてしまう《ドント・ブレイム・ミー》。

澄み渡る秋空、『アット・ストリーヴィル』のパーカーのアルトサックスが胸に染みてくるはず。

音は少々悪いかもしれないが、聴きやすく、なおかつパーカーのアドリブの斬れ味も楽しめる音源だ。

記:2007/03/19

album data

AT STORYVILLE (Blue Note)
- Charlie Parker

1.Moose The Mooche
2.I'll Walk Alone
3.Ornithology
4.Out Of Nowhere
5.Now's The Time
6.Don't Blame Me
7.Dancing On The Ceiling
8.Cool Blues
9.Groovin' High

Charlie Parker (as)
Herb Pomeroy (tp) #5-9
Red Garland (p)
Sir Charles Thompson (p) #5-9
Billy Griggs (b)
Jimmy Woode (b) #5-9
Roy Haynes (ds)
Kenny Clarke (ds) #5-9

1953/09/22

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